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引きこもりの末に高校浪人…「be動詞」も知らなかった男が東大に合格できた勉強法

「戻れるところまで戻る」は何にでも使える習慣

 現在、彼は僕と一緒に『モーニング』で連載中の“偏差値が低いところからの逆転を描く人気漫画”『ドラゴン桜2』に情報提供を行う東大生チーム『東龍門』の一員として活躍。自分と同じように偏差値が低い子に勉強を教えています。最近では、静岡県沼津市にある誠恵高校の高校生に対して、月額980円で授業が受け放題になるアプリ『スタディサプリ』を使った勉強のサポートをしているのですが、そこでも「戻れるところまで戻る」という習慣を実践させています。 「高校3年生の英語の授業が難しいと感じたら、高校1年生の英語の授業を受けてみて、それでもダメなら中学英語の授業まで戻ってみる」 「難しいな、できないなと感じたらすぐにやめて、もう2、3ランクレベルを下げてみる。そうやって、何ができないのか、どうすればできるようになるのかを考えてみる」  そんな勉強のコーチングを実践しています。これは実は『ドラゴン桜』の作中でも実践されていた勉強法で、偏差値35の学生が東大を目指すときにはじめにやり始めたのは小学生向けの算数と漢字のドリルでした。一番はじめの部分からやり直すことで、基礎を徹底させたのです。  そして、これは勉強だけに止まるテクニックではありません。  もしかしたら相手の話がわからないのは、初歩的なところが理解できていないからかもしれない。目の前の本の内容が入ってこないのは、根本的なところがわかっていないからかもしれない。バカバカしいと思っても一番最初の、戻れるところまで戻って考え直してみる。そういう意識を持って目の前のことに当たってみると、齟齬が生じずよりクリアに理解できるようになります。 「難しかったら一個レベルを下げて……なんて当たり前のことじゃないのか?」と感じるかもしれないのですが、実はこの習慣、実践しようと思うとなかなかできないものです。いざ勉強してみるとわかったような気になってしまったり、実は相手の話をわかっていないのにわかった気になってしまったり、または、できないものがあった時に「どうしよう」と立ち竦んでしまったり……そういう経験、みなさんにもあるのではないですか?  だからこそこの習慣ってとても有効なんです。違和感を覚えたりできないものに出くわしたときには戻れるところまで戻る。初歩の初歩、それこそ小学生・幼稚園レベルでもいいから立ち戻って考えてみる。こういう習慣を身につけておけば、わかった気になったり、できないものの前で立ち止まってしまうことがなくなるのです。  過去の経験を僕に話してくれた際、最後に小川さんは、こんなふうに語っていました。 「『できない』とか『わからない』とかと向き合うのって、すごく大変ですよね。僕も、小説が一行も読めなくなったときは本当に絶望しました。それでも、それと向き合って足掻いたから、今の自分があるんだと思います」  大変かもしれませんが、みなさんもぜひ『できない』『わからない』が出てきたときに戻れるところまで戻ってみてはいかがでしょうか?
(にしおか いっせい)東京大学3年生。偏差値35から2 浪後なんとか東大に合格。現在は東大書評誌『ひろば』編集長、「ドラゴン桜2 東大生プロジェクト『東龍門』」のプロジェクトリーダーなどを務める。著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』が12万部を突破。最新刊『東大式習慣「ゲーム化」でラクラク身につく<最強の効率術>』が発売中
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