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「ラブホは外の景色が見えない」という嘘…都内一の夜景は浅草のラブホで拝める/文筆家・古谷経衡

スカイツリーを模したインフォメーションボード。茶目っ気が繊細で可愛らしい

 ただし、むろん良いことだけではない。さすがに都内高級シティホテルとは違って、室内の全面がガラス張りとかではなく、客室からベランダに出る空間があり、そこのわずか0.5畳の部分からようやくスカイツリーがみられる、ということであって、なにかこう、超一流の絶景が広がっているわけではないことに注意したい。  しかし、ビジネスホテルや国際旅館がひしめく中にあって珍しく言問橋のたもとにあるこのラブホ。宿泊料金、休憩料金共に立地の割には実に廉価である。嬉しいことに無料駐車場も3台ある。この物件に泊まれば、「ラブホテルは外の景色が見えない」などということがいかに偏見と空想に満ちた虚言であるか、ということがわかろうというものだ。同地区のビジネスホテルより、圧倒的に当該物件の方がCP(コストパフォーマンス)が高い。独りラブホ熟練者からすると、東京東部にて、この物件を上回るCPの良さを誇るものはそうそう、見当たらないのである。  また、珍しく同ホテルは予約システムを導入しており、上記「スカイツリーが見える10室」を確実に確保しておきたいならば事前予約が適当である。周囲にラブホテルのないラブホ無風区に「ぽつねん」と存在する物件なので最初は戸惑うかもしれないが、ぜひ一度ご休憩やご宿泊などされてその抜群のロケーションと経営者の細心の心配りをご堪能されたい。 ●ラブホテルQ&A Q ラブホテルはなぜ予約ができないのですか? A 簡単に言いますれば回転率を上げるためです。ラブホは1)休憩(2時間~3時間)、2)サービスタイム(昼間の10時間~15時間)、3)宿泊(10時間~15時間)の三パターンで同じ部屋を回しており、もし予約が入って不着だった場合のリスクが大きいため、基本的に予約を採用しておりません。ただし、本稿で紹介した物件のように、近年では「数日前」とか「前日」というごく近いスパンに限って予約を受け付けていることがあります。特に前日予約(宿泊日の前日のみの予約受付)というのを導入する物件が増えてきています。こちらはケースバイケースですが、独りラブホ熟練者の私からすれば、予約なんて邪道でありまして、正面切って「ここだ」と狙った室に泊まるのがまた醍醐味なのであります。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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