仕事

派遣社員ブームに乗せられた40代の苦境「時給2500円だったのが1100円に…」

グレーな世界

“あの頃”の選択は間違っていたのか…

 体調を回復させるため、中部地方の実家に帰ったが、家族との喧嘩も絶えず、結局は東京に戻ってきた。しかし、仕事はない。 「同じような境遇の元派遣美容部員の友人のすすめで、熟女キャバクラで働き始めました。時給は2000円。毎日入れば月に40万円程度は稼げます。ただ、50近くになれば、給与も出勤回数も減らされるそうです。実は、今働いているのもキャバクラ向けの派遣会社。会社からは風俗へ行けとも迫られています。これがハケンの行き着く先か、と。もう少し、将来のことを考える機会があれば違ったのかなって。もう何もかも遅いですけどね」(同上)  派遣で働き、派遣に夢を見た男女。もちろん、今も派遣としてバリバリ働き、社会に貢献している人もいるが、2人の表情は暗い。だが、その選択が間違っていたと、浅はかだったと、一方的に言うことはできないだろう。  そもそも「派遣」そのものが、起業家や大企業による労働力の搾取といった指摘もあるわけだが、それもこれも「時代」のせいだろうか。働き方改革などと喧伝される一方で、こうした人々に光が当たるようになるまで、あとどれくらいの時間がかかるのだろうか。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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