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出会い系サイトで、25000円分のスネ毛画像を送ったあの日――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第44話>

 昭和は過ぎ、平成も終わり、時代はもう令和。かつて権勢を誇った“おっさん”は、もういない。かといって、エアポートで自撮りを投稿したり、ちょっと気持ちを込めて長いLINEを送ったり、港区ではしゃぐことも許されない。おっさんであること自体が、逃れられない咎なのか。おっさんは一体、何回死ぬべきなのか――伝説のテキストサイト管理人patoが、その狂気の筆致と異端の文才で綴る連載、スタート! patoの「おっさんは二度死ぬ」【第44話】「自分に出会った日」  つい先日、自分に出会った。  ついに狂ったかと思うかもしれないし、それは幻覚だよと言いたくなるかもしれない、何を訳の分からないこと言っているんだ、と思うかもしれないが、本当に自分に出会ったのだ。だからそう言うしかない。  ふと思い立って、古いパソコンを起動してみたのだ。  もう何年も前に使用していた古めかしいノートパソコンだが、なぜか、電源ケーブルが繋がり、ずっと充電されたままになっていた。なぜ充電していたのか理解できないけど、ずっとそのまま、充電されていたのだ。  電源ボタンを押してみると何の問題もなく起動した。もう何代前のものなのか分からないWINDOWSの画面が出てきて、あの時、あのままの僕がそこにいた。  ドキュメントを見れば、当時一生懸命書いていた小説の残骸や、何に使うつもりだったのか分からないイラストなどがゴロゴロでてきた。当時の自分を少しだけ愛おしく感じた。  なかでもチンポから42本の刃が出ているイラストは問答無用に意味不明で、何のために描いたんだこれ、そういった精神鑑定に使われるやつじゃないか、と思ったほどだ。当時の僕、頭おかしかったんじゃないだろうか。  その中で、「カメラ」というフォルダが目に留まった。どうやら、携帯電話で撮影した画像をパソコンにバックアップしていたようで、その中はさらに月ごとにフォルダが作られていた。  ある月のフォルダを開いて驚愕した。  それは6月のフォルダだったのだけど、延々と、すね毛の写真が並んでいるのだ。それも1枚や2枚じゃない、フォルダの右下に表示されていた情報によると122枚だ。122枚、延々とスネ毛の写真が並んでいるのだ。    たぶん6月に撮影した写真だ。梅雨のうっとうしい時期、祝日だってない。そんな6月だ。誰もが憂鬱になるそんな時期に僕は延々と122枚のスネ毛写真を撮っているのだ。何がどうなっているのか分からない。  「なんでこんなことになっているんだ?」  思い出そうにも全く思い出せない。同時のメールのやり取りなどを調べたり、色々と思い出しながら、なぜスネ毛122枚なんて事態になったのか、思い起こしてみた。
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画像送信が有料だった、いにしえの出会い系サイト
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pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――





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