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新型日産スカイラインの手放し運転はヒットしないと考える理由

自動ブレーキは欲しいけど、自動運転はいらない

 確かにユーザー側の認知度や期待も、年々高まっている。しかし実際には、現時点で自分のクルマに自動運転機能が付くことを望んでいるドライバーは、ごくわずかだ。  昨年、日本自動車工業会が発表した市場動向調査(2017年版)によると、「自動ブレーキは欲しいけど、自動運転はいらない」というのが、ユーザーの多数意見だった。同調査によると、自動ブレーキを「装着したい」と考えているユーザーは5割を超えていたが、ACCは31%とかなり低くなり、完全自動運転まで望んでいる人は、わずか8%だった。

完全自動運転(運転操作の全てをシステムが行い、ドライバーが全く関与しない)を望んている人は8%(2017年度乗用車市場動向調査より)

 この調査の後、高齢者によるペダル踏み間違い暴走事故がますます社会問題化したので、自動ブレーキや、踏み間違い防止装置に対する要望はぐんと高まったと推測されるが、完全自動運転への要望度は、そう変わっていないだろう。

自動ブレーキ(前方障害物衝突防止支援システム)を装着したい人は55%(2017年度乗用車市場動向調査より)

 実際のところ、一般ユーザーにとっては、ACCでも立派な「自動運転」だ。私の経験では、ACC初体験の女性は、「これは絶対に自動運転よ」と断言する。また、アクセルやブレーキの操作をクルマにまかせるのは、はじめの一歩に大きな勇気がいるもので、初体験時は非常に怖がるし、慣れても「もう使いたくない」となったりする。  

ACC(アダプティブクルーズコントロール)を装着したい人は31%(2017年度乗用車市場動向調査より)

 私自身は、高速道路ではACCをフル活用しているが、愛車は5年落ちで、技術的にやや古いこともあり、割り込みへの対処は非常に心もとない。どこまでクルマ側が対応してくれるかを見極めるのは、自分で運転しているよりはるかに技量(とっさの時の操作やその判断能力)が必要だと感じる。    2016年の調査で、新車へのACC装着率は38.7%。現在は5割を超えているだろう。そこから推測すると、現在の普及率は1割弱程度と思われるが、高速道路で周囲を見渡しても、ACCをONにして走っていると思われるクルマは、100台に1台もいない。機能はあっても、あまり使われていないのだ。
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自分に責任があるのにクルマに運転を任せることは怖い
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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