カーライフ

新型日産スカイラインの手放し運転はヒットしないと考える理由

自分に責任があるのにクルマに運転を任せることは怖い

 スカイラインの手放し運転も、とっさの時はドライバーが操作しなければならない点は変わらないし、万が一の事故の場合、その責任がドライバーにある点も同じだ。多くの一般ユーザーは、「自分に責任があるのに、クルマに運転を任せるなんて怖い」と考えている。  つまり、スカイラインの手放し運転機能を使いこなせるのは、新技術への興味や運転技量の高いクルマ好きに限られるだろう。決して運転弱者を救うものではない。

責任の所在はドライバーにあるなか、クルマにすべて任せることはできるのか?

 自動運転が真剣に求められているのは、人手不足が深刻な運送業界だ。大型トラックの隊列走行による完全自動運転(先頭のみ有人で、2台目、3台目が無人追従)はすでにテスト中で、政府がその開発を支援している。新東名高速の御殿場-浜松いなさ間の全線6車線化が決定したのも、来年から始まる予定のトラック隊列走行に対応するためだ。  しかし、一般ユーザーはそこまで求めていない。一般ユーザーに必要なのは、自動ブレーキ機能が進化した「ほぼぶつからないクルマ」ではないか。  たとえば、現在の自動ブレーキは、衝突が予測されても、アクセルを踏み込むと、ドライバーの意思を優先して自動ブレーキがキャンセルされる。そういった機能の制限を外して、とにかく事故の発生を”ほぼ防止(絶対は不可能)”してくれるクルマの開発こそ、第一に望まれている。それにはまず、現在は許されていない「赤信号での自動停止」解禁など、国の規制緩和が必要になるが。  スカイラインの手放し運転解禁もひとつの規制緩和であり、技術的進歩の一過程だが、個人的には、目の動きをクルマに監視されてまで、手放し運転をしたいとは思わない。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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