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京アニ放火事件で胸を痛めたら……悲しみは故人を偲ぶことで癒される

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第111回
放火

※写真はイメージです

 先日、人気アニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが放火される事件が起き、その場にいた多くのアニメーターが犠牲になりました。そのあまりの凄惨さと理不尽さに、つい事件のことを思い出してしまい、何も手につかない京アニファンも多いと思います。  というのも、私自身がそうだからです。事件の詳細を知ってから、「そんなことがあっていいのか?」という問いかけが何度も胸に浮かびました。そうした心境になるのは、それだけの思い入れが京アニという存在に対してあったからです。  京アニの作品は『フルメタル・パニック?ふもっふ』『涼宮ハルヒの憂鬱』『らきすた』『けいおん!!』『日常』『たまこまーけっと』『中二病でも恋がしたい!』『小林さんちのメイドラゴン』を何度も視聴しました。なかでも、『けいおん!!』には心を強く揺さぶられました。
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『けいおん!!』には「天使にふれたよ!」という劇中歌があります。この歌は高校卒業を迎えた主人公たちが、ただ一人の後輩にプレゼントするために作った卒業歌で、その歌詞には彼女たちが過ごしてきた日常の風景が織り込まれています。卒業式を終えた主人公たちが、部室として使っていた音楽室で、後輩のために歌うシーンは9年近く経った今でも鮮明に覚えています。  そのシーンに私は「人はこんなにも優しい時間を紡ぐことができるのか」と心を揺さぶられました。それは物語のキャラクターに対してだけではなく、そのシーンを作り出したクリエイターたちに対する感動でした。そして、その体験が原風景となって、「優しい時間を紡ぐ」という私の信念を作るきっかけになりました。物語は時として、現実以上に私たちの心を揺さぶります。  人間から悲しみはなくせません。なぜなら人は必ず死ぬからです。今回のようにその死が理不尽なものだと、悲しみはより強くなります。そして誰かの死に対して、残された者の悲しみを癒すのは、その故人について思い出すことだけです。それを人は「偲ぶ」と言います。
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辛い時に励ましてもらった京アニの作品が人それぞれある
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