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1時間200円のネットカフェに住んで2年目…年収100万・41歳の生活

 彼の“自宅”は、1時間200円という価格の安さをウリにした店で、森さんのような“その日暮らし”の漂流者が多く集まるスポットだという。 「この店、シャワーが無料で利用できるし、ドリンクバーだけではなくアイスも食べられちゃう。部屋にジュースを持ち込んで、ペットボトルに詰め替えもしていますね(苦笑)。便利なんですけど、年齢的に体がキツい。ベッドで寝る暮らしがしたいですね」  ネットカフェのシャワーでは、体と同時に服も洗うという。いま持ち歩いている荷物は「服ばかり。現場用の作業着も2着ある」。ほかの生活用品はネカフェで賄えるそうだ。  現在は日雇いで時給1200円を稼ぐものの収入は安定せず、家を借りるお金は貯まらない。 「年収は100万円ぐらいだから食事は24時間営業のスーパーで、深夜になると半額になる200円弁当や50円のおにぎりです。増税でネットカフェの料金も上がるし、ますます生活は厳しくなりますね」
激安おにぎり

「ドンキに行けば激安おにぎりもある。東京っていいですね」

 森さんは今日も彷徨っているが、公営住宅などに入ることはできないのだろうか? 社会福祉士の藤田氏(前出)はこう語る。 「公営住宅が住宅全体の3%にとどまり、低所得者への家賃補助もないのがこの国の実情です。社会的な構造が貧困を生み出しているのは否めません。セーフティネットが著しく弱い社会にもかかわらず、転落のきっかけが無限に存在するのです」  振り返れば断崖絶壁という絶体絶命のサバイバル生活を、中高年の漂流者たちは今日も目隠しのまま歩み続けている。
ネットカフェ難民

ネットカフェ難民として漂流する森さん

<取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!10月8日発売号「年収100万円の絶望 漂流する中高年編」
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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