更新日:2023年05月07日 13:46
仕事

50代で独立したら年収半減。飲み屋界隈で培った人脈は1年ともたずに崩れ落ち…

<職場の試練に立ち向かう処方箋>

 50代会社員の職場での過酷な試練は3つ。それぞれのリスクとは? まずは「居残り左遷」から。 「すでに日立やソニー、パナソニックといった大手企業では、年功序列を廃止した職務・役割給の一本化が整備されつつあります。そうなれば、役職についていない限り、20代の若手と同じ賃金で働くことになります」とは、人事ジャーナリストの溝上憲文氏。  この流れに抗えない以上、下手なプライドを捨てることが「職場で受け入れられるコツ」と人材育成を支援するFeelWorks代表の前川孝雄氏はいう。 「管理職だって、役職定年を迎えれば一介のプレーヤーにすぎません。ファイリングやデータ整理など、若手や外注スタッフにまかせていた雑務を率先してやらないと、瞬く間に自分の居場所を失います」

退職後の人生を見据え名刺で繋がらない友達を何人つくれるか

 続いて「転職失敗」の回避法は、会社の肩書に頼らないこと。 「会社の名刺で仕事や人付き合いをしている50代は、『看板を外したら価値も年収も半減』と考えておくべき。シャープを早期退職した私の知人は、熟年離婚も重なり、1年後には牛丼チェーンでアルバイトしていました」(溝上氏)  だからこそ、いかに個人的な信用を得るかがカギになる。 「50代での転職成功は、ほとんどがリファラル採用(縁故採用)。だからこそ、名刺の肩書抜きで繋がる社外の人と関係性を築いておくことが重要。もし、コネがないなら、年収を下げてでも自分の価値を発揮できる企業に転職しましょう。高年収だけを追い求めると、期待値が高い分、成果を出せないと、翌年から給料はあっという間に下げられる。むしろ、働きがい重視で、自分が活躍できる場を見つけたほうが、結果的に長く働けます」(前川氏) 名刺 そして、転職よりさらに過酷なのが「独立破綻」。実は前川氏も独立破綻しかけた過去を持つ。 「リクルートで数々の編集長を歴任し、41歳のときに満を持して人材育成コンサルタントとして独立起業しました。そのとき、仕事でご縁のあった人たちに手書きメッセージを添えた挨拶状を700通送ったんです。しかし、返事は一通もこなかった。リクルートの編集長という肩書がなければ自分は価値のない人間なんだと、あのときの絶望感は忘れられません」  結局、前川氏を救ってくれたのは、社外の仲間や先輩後輩たち。独立する場合、“名刺で繋がらない人脈”が分厚くなければ成功する可能性は低いのだ。 【人事ジャーナリスト 溝上憲文氏】 日本人材ニュース編集委員。経営、ビジネス、人事、雇用、賃金、年金問題を中心に執筆活動を展開。著書に『人事評価の裏ルール』(プレジデント社)など 【FeelWorks代表取締役 前川孝雄氏】 青山学院大学兼任講師。「50代からの働き方研修」で400社以上を支援。新著『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)が発売中 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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