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“親の介護”で無職中年になるリスクの回避法とは?

 40~50代の失業、数値には反映されない“新型”の無職中年が今、増加の一途を辿っている。現役世代を突如として奈落の底に突き落とす“社会の落とし穴”はいかにして生まれたのか!?
介護

※写真はイメージです

山本一郎が語る“親の介護”で無職中年のリスク回避法とは?

 ふとしたきっかけで襲いくる新型無職中年への転落リスク。「親の介護」が転落の要因のひとつであることが当事者への取材から見えてきたが、40~50代にとって老いゆく親の存在は誰にも共通するもの。どうすれば親の介護による転落リスクを避けることができるのか? 自身と妻の両親、計4人の介護を10年にわたって続けながらも精力的な活動を続ける作家で投資家の山本一郎氏はこう語る。 「介護施設に入れようと思ったら、入所費用だけで安くて200万円、高ければ2000万円以上飛んでいく。『サラリーマンは絶対に介護離職すべきでない』といった専門家の指摘はごもっともですが、施設にお願いするなら誰もが大金を払えるわけではありません」
新型[無職中年]が急増中

山本一郎氏

親が元気なうちに介護について“家族会議”すべき

 介護当事者のひとりとして、多くの“介護仲間”と出会ってきたという山本氏。「介護離職したものの再就職はままならず、疲弊・困窮している方を多く見てきた」と言うが、親の介護を背負ったうえでも自身の仕事や生活を維持できている人には、共通点があるという。 「親の介護が発生する前から、要介護になったときの対応、介護に回せる双方の貯蓄などについて親と“家族会議”できている人はうまくやっていけてます。『要介護になっても生活のために仕事は続けなきゃいけないから、このくらいの公的な介護保険で我慢してくれ』と親が元気なうちに納得してもらう。  そして、いざ介護生活が始まってもケアマネさんと相談して介護メニューを考え、ヘルパーさんが来ないときは昼食の弁当を作っていったり。要介護3(歩行や食事、排せつなどに全面的な介助が必要な状態)未満ならこうして自身の生活・仕事の維持を優先すべきです」  いずれ介護離職せざるを得なくても、そうすることでギリギリまで収入は確保できるうえ、キャリアの断絶を最小限に抑えられる。 「それに、要介護1(日常生活の一部に見守りや手助けが必要)から2(歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えが必要)の段階から離職して介護生活に入ると、その先が10~15年と長くなってしまい疲弊するし、キャリアの断絶も大きくなってしまいます」  親の介護も大切だが、その後も続く自分の人生を守ることも重要。親が元気なうちに家族会議や支援制度について学ぶことで、リスクを未然に減らせるのだ。 【作家/投資家・山本一郎氏】 情報法制研究所事務局次長および上席研究員として、さまざまな社会調査を行う。舌鋒鋭いコラム、ブログも人気。『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)など著書多数 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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