仕事

年収650万円から300万円に転落した40代。上司とケンカして会社を辞めた後の悲劇

 無職中年が今、増加の一途を辿っている。再就職もままならない40~50代の現役世代を突如として奈落の底に突き落とすきっかけとは――。
新型[無職中年]が急増中

文具製造工場で契約社員として働く高木康之さん(仮名・44歳)

いつ無職になるかわからない非正規の悲痛な叫び

「今も昔も、人一倍真面目に働いてきた自負はあります。でも、今の生活を続けられなくなる“リミット”が迫っていることを自分でもひしひしと感じています」  1LDKの都内にある自宅で唇を噛み締めながらそう語るのは、文具製造工場で契約社員として働く高木康之さん(仮名・44歳)。なんとか社会にしがみついているものの、転落直前の無職中年“予備軍”のひとりだ。 「大学卒業後、建設系企業に正社員として入社しました。35歳の頃の年収は650万円。大きな案件も任されるようになっていたんですが……手柄を横取りしようとする上司とケンカしちゃったんです。意地になって会社を辞めました」
新型[無職中年]が急増中

同僚と肩を組み酒を飲み交わす30代の頃の高木さん。当時はゴルフが趣味で、毎週末のように通っていたそう

 仕事には自信があり「次もすぐ見つかるだろう」とタカをくくっていた高木さん。しかし、運悪く退職直後にリーマンショックが勃発。正社員としての採用試験には落ち続け、非正規の仕事を繰り返す生活が始まった。 「そこからは長くて3年、短くて3か月の契約の仕事を転々としています。現在の年収はだいたい300万円。いつか返り咲きたいと思って貯金を取り崩しながら家賃13万円のこの家に住み続けているんですが、さすがに厳しくなっていますね……」  もうひとつ、高木さんの頭を悩ませる問題がある。 「78歳の母が山梨でひとり暮らししているんですが、去年足を骨折して以来めっきり弱っちゃって……。要介護になったら面倒を見られるのはひとり息子の自分だけ。実家に帰れば家賃は浮くし、母の年金も生活の足しにできる。でも……そこに流されたらもう『俺の人生、終わっちゃうんだろうな』ってことが薄々わかるんですよ」  今の契約が打ち切られたとき、そして母に介護の手が必要となったとき、高木さんはまだ自分がどうすべきか答えを持ち合わせていないという。  ふとしたことがきっかけで転落に繋がる無職中年の恐怖。明日は我が身かもしれない。
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本当に無職になった人たち
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