仕事

母の介護を3年…年収700万円から無職になった40代の不安

介護の負担をひとりで背負わざるを得ない世代

新型[無職中年]が急増中 親が要介護になるケースは今の世代に限った話ではないはず。なぜ今、新型の無職中年を生み出す要因となっているのか? 「新型無職中年が近年増えている背景には、40~50代の未婚者の増加が考えられます。未婚ゆえに親と同居、さらに介護の負担をシェアできる配偶者がいないために仕事を辞めてまでひとりで介護しなければならない状況が生まれていると考えられます」  そう分析するのは労働経済ジャーナリストの小林美希氏。さらに、新型無職中年を生み出す大きな要因となっているのが、40~50代の非正規労働者の増加だ。 「現在の40~50代の多くは就職氷河期を経験している世代。非正規雇用で働く人が多く、低賃金ゆえに親と同居している人も少なくない。また『40代非正規労働者の男性の75.2%が未婚』というデータもあり(連合総研が’15年調査)、未婚者と非正規労働者の増加は切っても切れない関係と言えます。ここに、40~50代が無職へと転落、求職活動できなくなる“落とし穴”があるのです」(小林氏)
新型[無職中年]が急増中

小林美希氏

 未婚・非正規であっても、親が元気なうちは何も問題はない。だからこそその後に襲うリスクは可視化されづらく、親が要介護になった瞬間に無職中年へと転落してしまう40~50代が増えているのだ。 「介護は『ここまでやったら終わり』というゴールが見えず、5年以上つきっきりで介護しなければならないケースもあります。看取った後に残されたのはそのぶんだけ職歴の断絶が生まれた自分のみ。再就職が叶わずひとりぼっちでいるしかないなかで、生きる価値がないからとセルフネグレクト状態に陥り、緩やかな死に向かう人も少なくありません」(ジャーナリスト・池上正樹氏)  親が長生きすることは喜ばしいことだが、介護期間の長期化により介護する側の人生をねじ曲げてしまう悲劇も生まれているようだ。 【労働経済ジャーナリスト・小林美希氏】 『週刊エコノミスト』編集部記者を経て’07年よりジャーナリストとして活動。著書に『ルポ 中年フリーター「働けない働き盛り」の貧困』(NHK出版)など 【ジャーナリスト・池上正樹氏】 ひきこもり問題を20年以上取材。著書に『ルポ「8050問題」高齢親子“ひきこもり死“の現場から』(河出新書)、『ルポひきこもり未満』(集英社)など <取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/リサーチプラス>
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