『ワンピース』のスモーカー大佐でわかる「モチベーション」の上げ方
―[魂が燃えるメモ/佐々木]―
いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第191回
人気マンガ『ワンピース』にスモーカーという海軍将校がいます。スモーカーはもともとローグタウンという街に駐留していましたが、ルフィたち麦わら海賊団を追いかけて、部下の「たしぎ」と共に偉大なる航路(グランドライン)に乗り込みます。
あらゆる決断には人物の影響があります。「あの時、あの人が、ああ言ったから。だから自分はこうするんだ」というプロセスによって、人は決断します。「ルフィを追いかける」というスモーカーの決断に影響を与えたのは、海賊王ゴールドロジャーです。
ローグタウンを訪れたルフィは、因縁のある海賊というバギーに死刑台で殺されそうになった時に、「わりい。おれ死んだ」と仲間に笑いかけます。これを見たスモーカーは戦慄します。
なぜなら、死を恐れていないかのようなルフィの振る舞いは、伝説的な海賊であるゴールドロジャーが死刑台で命を落とした時の反応と同じものだったからです。つまり、スモーカーはルフィの振る舞いにゴールドロジャーの面影を見て心を揺さぶられ、彼の本質を見極めるためにを追いかける決断をしたのです。
この時のスモーカーの心情は「伝説の再来」です。歴史に残るような大人物はその功績だけでなく、言動までもが噂話の形で語り継がれるようになります。そして、別の誰かが似たような振る舞いをした時に、「あの人の再来だ」と心を揺さぶられます。人は知らず知らずのうちに「伝説の再来」を求めています。たとえば『武士の家計簿』が映画にもなった歴史学者の磯田道史氏が、「平成の司馬遼太郎」と呼ばれているのは、その典型です。
このように決断の原動力となる人物の影響は、「目の前にいる人間」そのものではないことがよくあります。伝説的な人物は数十年、数百年、あるいは数千年の時間を超えて誰かの面影に現れ、人の心を揺さぶります。それは人類が文明を築いて以降、脈々と続けられてきた営みです。だからこそ、私たちは「織田信長のような決断」や「坂本龍馬のような改革」に憧れます。
もちろん行動のすべてが「人物の影響」によるわけではありません。海賊であるルフィを捕まえることは、海軍将校であるスモーカーにとって職務の一環です。しかし、スモーカーは明らかに単なる仕事以上の意味をそこに見出しています。「仕事だから当たり前」ではモチベーションにはなりません。仕事に意欲を求めるならば、当たり前以上の意味を与えてくれる人物の影響が必要なのです。
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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