更新日:2022年08月06日 02:15
仕事

コロナで消えた「サラリーマンの特権」ほぼ遊びの出張、曖昧な残業代…

「残業代」という存在自体がレアになる

残業 そして、最も多くの人に関係し、最大の破壊力をもってサラリーマンに襲い掛かるのが残業代の削減です。もとより最近ではだいぶ残業代にシビアになってきましたが、公的機関がつくる社団法人や財団法人などは、いまだにザルの労務管理をしていることがあります。  筆者の友人が勤めていた準公務員の機関では、休日に出社して本を読んでいて土日出勤として割り増しされた残業代をもらっていたり、合コン後に一瞬だけオフィスに戻ってきてタイムカードを押して、ずっと出勤していたというカウントにして残業代をもらっていたりしたツワモノもいたそうです。  ちなみにこの機関では一番下の役職なのに、役員と同等の月給が続くという事態になっていたとのこと。さすがに問題視されて、残業代が発生しないような人事制度の変更が行われたようなのですが、たまたま組合の委員長として制度変更にサインしたその友人に「なんでサインしたんだ!」と誰よりも抗議してきたのが、特権を謳歌していた面々だったようです。  テレワークは時間管理を徹底するのが難しいので、今後は時間管理を行わない代わりに残業代も発生しないような労働形態が許されていくと予想しています。そうなると残業代自体が一掃され、特権を享受していた「読書家」や「パリピの準上級国民」は自然と淘汰されていくことになるはずです。  筆者はこれまで経営者としてルール外の特権については全員を黙認するか、イタチごっこになろうとも撲滅のために動き続けるかどちらかの対応にしていました。一部の人間だけを見逃してしまうとナメられるか、不公平感が出てしまうかになってしまうからです。特に現金がかかわるような領域については厳しく対処することで、組織を引き締めるようにしてきました。  しかし、業歴の長い大企業だと幹部自らがサラリーマン利権の享受者だったりするために、なかなか撲滅には向かいません。そこに対してテレワークという外圧が問答無用で押し寄せてくることになります。  今回、挙げた例は社内でもほかの誰にも知られていないということはありません。少なくとも経理や総務の人間は気づいています。自粛警察に象徴されるように、急激な環境変化によって、人の行動が突然変わったりもします。準上級国民の皆さんは「それはそもそもおかしかったんじゃないか!」という一言によって足元をすくわれないよう、小銭を失っても信用だけは失わないように用心しておきましょう。
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある
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