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楽日を迎えられた奇跡、経済活動維持のためのPCR検査の意義/鴻上尚史

PCR検査を手がかりにぎりぎりの綱渡りで経済活動を

 最近のネットのニュースでも、ある感染症のお医者さんが「濃厚接触者になったり、症状が出た場合以外は、PCR検査を受けるべきじゃない」と仰っていました。  検査すると陽性者が多く出て、病院に集まり医療崩壊するから受けるな、というなら、演劇のカンパニーやプロスポーツ集団や学生寮、濃密な生活・職場環境の人達は、誰かに症状が出た時は、クラスターになっている、ということになります。  来年のオリンピックに向けて、海外からの選手やスタッフには、全員、PCR検査をする予定である、なんてニュースがありました。  僕は、「大規模なPCR検査に反対している人達は、猛烈な抗議をするだろうな」と思ったのですが、そんな動きは聞こえてきませんでした。  PCR検査をするのは、なんとかコロナ禍の中でも経済活動を続けたいと思うからです。  PCR検査を手がかりにぎりぎりの綱渡りで経済活動を続けないと、みんな、経済的な理由で死んでしまうからです。

医療崩壊をふせぐため、急務だと思うこと

 大規模な検査に反対している人達は「Go Toキャンペーン」をどう思っているのか、知りたくなります。各地の空港や主要な駅で簡単にPCR検査を受けられる、なんてシステムには大反対のはずです。だとしたら、むやみに検査を受けてはいけない、でもトラベルやイートは問題ない、と思っているのでしょうか。  そもそも、医療崩壊はPCR検査を増やすことより、医療関係者の待遇・給与をこのままにしておく方が起こる可能性は高いと思います。  医療関係者の給料を、即時、二倍から三倍にして離職を減らし、人材を集めることが急務だと思うのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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