お金

パチスロ規制緩和を勝ち取った切り札は行政の天下り受け入れか

メダルレス機を巡り新たな団体が設立!?

 また第2段階ゲーム数規制の完全廃止も発表されたが、これは「業界で推進しているメダルレス遊技機から実施」(発表から引用)としている。メダルレス遊技機、いわゆるメダルレスパチスロはその名の通りメダルを使わず、クレジットだけでの遊技を想定しているもの。パチンコでも循環式と呼ばれる管理遊技機というものがかねてから計画されているが、そのパチスロ版として立ち上がったものだ。  2年前のものだが、メダルレス遊技機の資料によると、メリットとしてセレクターやホッパーという機械的な構造物がなくなることによるゴト行為の撲滅、またメダルを使用しないことによって衛生的かつ利便性の向上などが挙げられているが、大きな目的になるのが「出玉情報等を用意に確認できる」ことで「射幸性の抑制」につながるとしている。  パチンコの管理遊技機も同様だが、そもそもの発端が「出玉情報を一元的に管理できるシステムに接続」するのが目的であり、故に“管理”という名前がつけられた経緯がある。なぜ出玉情報を一元的に管理すれば射幸性の抑制になるのか、そもそも遊技機は型式試験で射幸性の問題をクリアできているはずという疑問もあるが、全体的な構想では一元管理できるシステムは新たに立ち上げられるであろう団体におかれるらしい。そこが新たな行政側の天下り先になるのは想像に難くないが、とはいえ天下りを餌にしてパチスロにおける有利区間の完全廃止という現時点での悲願については目処がついたといえそうだ。  ただパチンコの管理遊技機が数年間も計画段階のまま日の目を見ないことを考えれば、メダルレスパチスロがいつ登場するかの予定は未定といった状況。11月の旧基準撤去までには有利区間3000Gの機種が間に合いそうだが、出玉面の緩和がないだけにゲーム性は向上したとしてもファンが求める射幸性にどこまで応えられるかは分からない。これで挽回できなければ体力があるホールが進めているパチスロからパチンコへの島転換を抑制できないだろうし、体力がないホールの廃業も止められもしないだろう。

入替を促すためにマス媒体への広告が解禁

 なお他にも入れ替えを促す施策として、この4月からテレビや新聞などマス媒体における機種広告も解禁された。東日本大震災後のバッシングによって自粛されてから10年、あれほど氾濫していたパチンコ・パチスロの広告が一切なくなったことは少なからずファン離れに影響したともいわれているが、今回の解禁は新規則機への入れ替えを少しでも即したいというメーカー側の思惑もあるらしい。  それがどれほどの効果があるのかは判断つきかねるが、旧基準機の完全撤去まで残すところ後半年。コロナ禍の収束が見通せないなか、その時にどれほどのホールが業界から退場し、またどれほどのファンが離れていくのか、多くの業界関係者はできれば想像したくないというのが本音ではないだろうか。 <文/キム・ラモーン>
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
1
2
3
勝SPA!
おすすめ記事