ライフ

東大生が衝撃を受けた「知的好奇心が強烈に刺激される小説」ベスト3

○『桃山ビート・トライブ』

天野純希著(集英社)
『桃山ビート・トライブ』

『桃山ビート・トライブ』

 三味線の名手である藤次郎、笛役者の小平太、元奴隷で黒人の太鼓叩きの弥助、そして踊りの天才である舞姫ちほの4人が織りなす、音楽をテーマにしたストーリーが魅力の作品です。  タイトルの「桃山」とは「安土桃山時代」の桃山のこと。この「安土桃山」は織田信長の安土城と豊臣秀吉の伏見城があった桃山丘陵からとられているといいます。  作中の取り扱う時代は、ちょうど戦国時代のすぐあと、豊臣秀吉が太閤として君臨していた瞬間です。戦国時代や江戸時代を取り扱った作品は数多くありますが、その狭間の時代を取り扱った時代は比較的少ないのではないでしょうか。

軽快で爽快感のあるストーリー

 戦国時代の直後というと、まだまだ自由な気風が想像されるかもしれませんが、実はこの時代、かなりの管理社会だったんです。有名な「刀狩」が行われたのもこの時代。  あまり取り締まりを緩くしていると、またどこかの大名が反乱を起こしてきそうですし、当たり前のことではあります。しかし、社会からはぐれてしまった主人公たちが生きるには少々つらい時代であったのも確かでしょう。  僕がこの本に出合うまでの「歴史小説」の印象は、「なんだか小難しい本」でした。しかし、『桃山ビート・トライブ』は軽快な語り口に爽快感のあるストーリーのおかげで、まったく重苦しさを感じさせません。大変読みやすく仕上がっています。  もちろんこの物語はフィクションですが、歴史の中にあったかもしれない一幕に思いをはせるには十分でしょう。想像力をかき立てる一冊です。
次のページ
「ショートショートの神様」が残した傑作
1
2
3
4
5
テキスト アフェリエイト
Cxenseレコメンドウィジェット
Pianoアノニマスアンケート
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白