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岸田外交の3つの問題点。軍事抜きの外交など無力だ/倉山満

クアッド首脳会談の意義はインドをアメリカ陣営に引き留めること

 バイデンは中国には立ち寄らず、最初に韓国、次いで日本にやってきて多くの外交を進めた。ウクライナ事変の最中であっても、主敵は中国である、日米韓は結束するとの姿勢を示すためだ。中国は当然ながら反発する。賽は投げられた以上、我々は戦う覚悟をしなければならない。  日本での大舞台は、インドとオーストラリアの首相も呼んで、クアッドの首脳会談を開いたことだ。日米同盟にアジア太平洋の潜在的な大国である印豪両国を加えてインド太平洋地域に中国を出さない! などという威勢の良い話にはなっていない。クアッドの意義は、伝統的にロシアよりのインドをアメリカ陣営に引き留めること、せめて明確な親露にさせないことだ。その意義は今のところ達成している。  バイデンはTPPに代わる経済的枠組みとしてIPEFを打ちだした。だが、国内事情でTPPに戻れない苦し紛れにすぎない。そもそも経済で中国を潰せる状況にはない。

日本が自力を示さないとアメリカは動いてくれない

 バイデンは北朝鮮拉致被害者の家族との面会では親身に対応してくれた。こういう時は、民主党の政治家の方が模範解答的に振舞う。そもそも、日本が自力を示さないとアメリカは動いてくれないのだから、自助努力をすべきだ。  バイデンの国連安保理常任理事国入りの支持発言など、完全にリップサービスだ。  ウクライナにのめり込むアメリカに、アジアは冷めている。日韓に台湾とシンガポールだけがアメリカについていっている。アメリカが過半数のエネルギーをあちらに注いでいる今、日本が大国に戻るしかないではないか。 大国の条件は軍事力だ!
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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