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ニュースで報じない「ハマスの最終目的」とは?日本のメディアが“中立であるフリもしない”理由

ハマスは「根本的かつ狂信的な反ユダヤ主義者」である

中東問題再考 ハマスがイスラエルとの和平や対話を否定し、ジハードによる解決のみを信奉していることは、ハマス憲章第13条に「(平和)イニシアチブや、いわゆる平和的解決策、国際会議は、イスラム抵抗運動の原則に反するものである」「パレスチナ問題はジハード以外に解決策はない。  イニシアチブ、提案、国際会議はすべて時間の無駄であり、無益な運動に過ぎない」とあることからも明らかです。  従来、ハマスの軍事部門「カッサーム旅団」だけをテロ組織指定してきた英国は2021年11月、ハマスという組織全体をテロ組織指定すると決め、パテル内相はハマスについて「広範で洗練された武器やテロリスト養成施設へのアクセスを含む重大なテロ能力を有しており、長年にわたり重大なテロ暴力に関与してきた」と述べました。

ハマスは「根本的かつ狂信的な反ユダヤ主義者」

中東問題再考

※画像はイメージです

 さらにパテルは、「ハマスは根本的かつ狂信的な反ユダヤ主義者だ。反ユダヤ主義は永遠の悪であり、私は決して容認しない」と明言しました。  ハマスが「根本的かつ狂信的な反ユダヤ主義者」であるというのは、日本のメディアや「専門家」が決して明言しないハマスの本質です。  ハマスが反ユダヤ主義のテロ組織であることが明らかになると、ハマスを擁護し「パレスチナ人がかわいそうだ」と同情を引いたり、感情に訴えて日本の一般大衆をハマスの味方につけるのが難しくなるからでしょう。  しかしハマスというのは、日本政府が支持する「包括的な和平」や「二国家解決」や「交渉による解決」や「暴力の拒絶」の対極に位置し、それらをことごとく否定する過激派テロ組織だというのが現実です。  日本のメディアや「専門家」がこのハマスを正義の味方の如く祭り上げるのは、国内的には反政府、反体制活動の一環であり、なおかつ彼らはその体裁で実はテロ支援に加担しているのです。 <飯山陽 構成/日刊SPA!編集部>
1976(昭和51)年東京生まれ。イスラム思想研究者。麗澤大学国際問題研究センター客員教授。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学専門分野博士課程単位取得退学。博士(文学)。『ニューズウィーク日本版』、産経新聞などで連載中。著書に『中東問題再考』『イスラム教再考』(以上扶桑社新書)、『エジプトの空の下』(晶文社)など。
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中東問題再考

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