企業の【嗜好品規制】には憲法違反の疑いがある
一昨年のタバコ増税に続き、喫煙率を今後10年で12%にするという計画が閣議決定された。非喫煙者にとっては喜ばしいこともしれないが、この流れが禁酒や禁ファストフードにまで波及するとなれば話は別だ。そして、今、日本は確実にその方向に進みつつある。

自治体レベルでは、’10年に全国で初めて病院や学校、劇場、官公庁などを原則禁煙化した神奈川県の「受動喫煙防止条例」は記憶に新しい。
こうした喫煙規制の流れ(https://nikkan-spa.jp/241003)は県のみならず、市町村レベルまで広がっている。千葉県流山市では、飲食店を禁煙化する条例案が議会で否決されたばかりだ。同市食品衛生協会会長の伊藤末子氏は条例案について憤慨する。
「ただでさえ不景気でお客さんが減っているのに、禁煙を強制されたら大打撃。タバコを吸うか吸わないかはお客さんが決めればいいし、店を禁煙化するかどうかは店が決めればいい。条例で強制すべきものではありません」
市の条例案は否決されたが、千葉県でも条例制定に向けて検討会を設置。大阪府や京都府でも同様の動きがある。
また、喫煙者を締め付けているのは、国や地方自治体だけではない。ここ10年ほどで、喫煙者を採用しないとする企業が複数現れたのだ。例えば旅館・ホテルの運用を行う星野リゾートは、’02年以降、新卒者の採用では喫煙者を採用しないと宣言。現在、同社のウェブサイト上では、非喫煙者であると答えるか禁煙を宣言しなければ、採用情報を閲覧できない。その理由を同社に聞いた。
「当社の方針は、社員の健康維持のほか、タバコ休憩を取ることで生まれる生産性の低下や、非喫煙者との間に生まれる休憩時間の格差を解消することが目的です。また禁煙は、接客業に携わる者としての当社の理念であり、喫煙者の排除が目的ではありません。ただ勤務時間外でも、仮に喫煙していることがわかれば、採用時の約束を守るか会社を辞めるか、という話になります。採用時に面接で話し合い、お互い納得の上で採用しています」(同社担当者)
とはいえ、労働法に詳しい松丸正弁護士は「憲法違反の疑いもある」と指摘する。
「喫煙は違法ではなく、それ自体は反社会的な嗜好でもありません。現在でも成人男性の3割は喫煙者です。職場での分煙・禁煙を企業ごとの判断で行うのは構わないですが、勤務外での喫煙習慣に干渉するのは憲法が定める幸福追求権の侵害でしょう。喫煙を理由に不利益を被った人が仮に企業などを相手に裁判を起こしたら、勝てるのではないでしょうか」
― 厚労省が推進する[健康全体主義]の恐怖【2】 ―

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