雑学

受動喫煙強化案に関係団体からは「現実的ではない」の意見も

 2020年、東京オリンピック・パラリンピックを控え、厚生労働省(以下、厚労省)は国民の健康の増進の観点に基づき、従来の努力義務よりも実効性の高い「受動喫煙防止対策」の具体案をまとめると公表。その方法として、厚労省はイギリスのように建物内を禁煙とすることが極めて有効であると考え、イギリス、韓国の混合型の制度を導入するとして、下表のとおりたたき台をまとめた。

 喫煙所の設置や撤去など、その影響は多方面に及ぶことから、厚労省は受動喫煙防止対策強化案のたたき台について、関係団体との公開ヒアリングを10月31日と11月16日の2回にわけて実施。ヒアリング団体は以下のとおりだ。

第1回 10月31日 参加ヒアリング団体(順不同)
(1)一般社団法人全国消費者団体連絡会 (2)一般社団法人全日本シティホテル連盟 (3)一般社団法人日本フードサービス協会 (4)全国麻雀業組合総連合会 (5)特定非営利活動法人日本ホスピス緩和ケア協会 (6)日本私立大学団体連合会 (7)日本内航海運組合総連合会、一般社団法人日本船主協会、一般社団法人日本外航客船協会 (8)四病院団体協議会

第2回 11月16日 参加ヒアリング団体(順不同)
(1)一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 (2)一般社団法人日本経済団体連合会 (3)一般社団法人日本ホテル協会、一般社団法人日本旅館協会 (4)一般社団法人日本遊技関連事業協会 (5)公益社団法人日本医師会 (6)公益社団法人日本看護協会 (7)公益社団法人日本歯科医師会 (8)公益社団法人日本薬剤師会 (9)事業協同組合全国焼肉協会 (10)全国たばこ販売協同組合連合会、全国たばこ耕作組合中央会 (11)日本商工会議所 (12)日本労働組合総連合会 (13)東日本旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、一般社団法人日本民営鉄道協会

 公開ヒアリングは各団体が10分程度、喫煙環境に対する現況と強化案に対する意見を述べたのち、厚労省の健康局健康課長を中心にしたワーキンググループが質問をしていくという具合に進行。厚労省の強化案について全面的に支持、もしくは「もっと徹底すべき」とする団体もあったが、多くの団体からは「厳しすぎる」「現実的ではない」との声があがった。

 原則禁煙(喫煙室設置可)を提示された日本内航海運組合総連合会など船舶に関わる団体は「船員は長くて3か月乗船ということもあり、いわば家庭と職場が同居する労働環境。職場ストレスの軽減のため、船室での喫煙等は認めている状況です。また喫煙室の設置と言われても、例えば499tの船に新たに喫煙室を付け加えると容量オーバーとなり、船舶免許の条件や乗組員を増やす必要が生じる」など、現行の船舶法との絡みで対処が難しいことなども意見表明した。また、同じ船舶でも一般客の健康被害も問われる日本外航客船協会からは「喫煙所ではなくシガーバーの設置はOKなのか?」という意見もあがった。

 客の多くが喫煙者である娯楽業界にとって強化法案が徹底されることは死活問題。サービス業(原則建物内禁煙、喫煙室設置可)に括られる全国麻雀業組合総連合会は「完全禁煙店、喫煙店が混在している現状、たばこの煙が苦手なお客様には全国禁煙店を選べるようにしている。また、昼の時間帯は完全禁煙で夜からは喫煙OKなど時間差で対応しているお店もある」と述べたところ、健康課長からは「お客さんの中にはアクセスなどの問題で完全禁煙店を選べない方もいます。例えばゲーム中、3人の喫煙者に囲まれた非喫煙者は声を上げられない。そういう方の健康被害については?」と指摘。エリート官僚の冷徹な論理展開に押されるかと思いつつも、「20坪ほどのお店に敷き詰めるように麻雀卓が置かれているような店舗設計。物理的に喫煙室を作る余裕がない」と業界ならではの意見を述べた。

公開ヒアリング開始時の様子。写真は第1回のもの

 同様に「長時間遊技するお客様ほど喫煙率が高い」と喫煙と密接な関係であることを主張したのが日本遊戯関連事業協会。こちらも麻雀と同じく「完全禁煙のお店などお客さんの嗜好に選べるようにしている」と述べつつ、「ホールの全面禁煙化」についてパチンコファンへのアンケート結果も提示。31.2%が「絶対反対」であることを伝えたところ、健康課長は「少なくとも7割以上がやむなしと判断している。喫煙室を設置すれば、この『絶対反対』の回答率は減少するのでは?」と質問を受ける。それに対して、「喫煙室を設置するには風営法の問題がある」ことを強調。「風営法と受動喫煙の防止に何の関係があるのかよくわからないのですが」と健康課長が問いただしたところ、「風営法施行規則第8条において、『客室内部に見通しを妨げる設備を設けないこと』という制約があります。改築するごとに内見検査があり、2週間以上、休業を余儀なくされる」との論理を展開した。

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飲食系の団体からは「断固反対」の声も

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