「そうめんは不当に格下扱いされている!」そうめん研究家の熱い思い
「うどんやそばなどと比べて、そうめんは不当に格下に見られています!」と嘆くのは、そうめん研究家のソーメン二郎氏。彼は奈良県で三輪そうめん製造販売を営む家系に生まれ、そうめんの歴史・文化の研究を続けている。
そうめんの歴史は、うどんやそばに決して劣るものではないと二郎氏は主張する。
「例えば私の地元の三輪そうめんは奈良時代からあります。“不老長寿の霊泉”と呼ばれるミネラル豊かな三輪山の地下水があり、文化的にも古代からの先進地域であったからこそ、究極に細い麺をつくる技術が発展したのだと思います」
JAS規定によると、直径1.3mm未満の麺を「そうめん」と言い、1.3mm以上1.7mm未満のものを「ひやむぎ」と言う(「半田そうめん」は除く)。
「特に三輪そうめんはそうめんの中でも非常に細く、最高級品では0.3mmという世界最細の麺を製造しています。植物油を使って可能な限り麺を細く延ばすという作業は現代でも相当な技術ですが、そうめんが普及した当時は日本の食文化における究極のハイテクだったのではないでしょうか」
現在、うどん屋やそば屋は街中の至るところにあり、「うどん道」や「そば道」といったものを説く職人はたくさんいる。しかし、なぜそうめんにはそれがないのだろうか。
「ひとつには、そうめん市場が安定していて競争が少なく、業界全体がのんびりしているということがあると思います。製造元の数も少なく、夏にはお中元などである程度の需要が見込めます。大々的に宣伝したり、手広く展開したりする必要もない。それに、いいそうめんは冬季にしかつくれないので、むやみに増産することもできないのです。これはいい面でもあるんですが、うどんやそばよりも格下のような扱いを受けているのが何よりも残念です」
確かに、そうめんは夏の暑い時期、食欲がなくなったときに食べるものというイメージで、高級感はない。
「うどんやそばにも、気軽に食べられる立ち食いから、材料や打ち方にこだわった高級なものまでいろいろとあります。そうめんも同じ。スーパーなどで売っている気軽に食べられるものから、百貨店で売られている贈答用の超高級品までいろいろな種類があるのです。いちど高級品のほうも試していただけたら、そうめんに対するイメージもがらっと変わると思います。
一流の手延べそうめん職人は、その日ごとの温度や湿度を考慮に入れ、麺がなめらかに細く延びるよう縒(よ)りをかけ、寝かせます。手間と時間を惜しまずにつくってこそ、ほかの麺にはない食感を生み出すことができるのです。
本当に美味しいそうめんは、麺つゆなしで食べても美味しいですよ。オリーブオイルと塩でイタリアンな感じにしたり、クミンやパクチーなどを加えてエスニックな感じにしたりというのも楽しいです。さまざまな薬味やつゆ、調理法によって繊細な変化を生み出すのが、そうめんの最大の魅力です」
そんな二郎氏がオススメするそうめん専門店は、三輪そうめんの老舗「山本」が経営する「三輪茶屋」。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=625352
周囲は最古の神社といわれる大神神社や、卑弥呼の墓といわれる箸墓古墳など数多くの史跡があり、史跡めぐりの途中に歴史ある味を体験することができる。
そうめんの不当な“格下扱い”を嘆く二郎氏は、「今年はそうめん復権の年にしたい」と強く宣言する。
「その土壌はあるんです。例えば、歌舞伎役者の市川染五郎さんは大のそうめん好きで、『人生細く長く。俺は市川ソーメン五郎だ』と言っているほど。染五郎さんは恒例イベント『妄想歌舞伎』でそうめん好きを公言されているので、ファンを中心に歌舞伎界では早くもそうめんブームの予感です。また、東京大学には『東大そうめん部』があり、そうめんの普及に邁進しています。そうめん好きの総力をあげて、これから夏にかけて『そうめん復権』のためのイベントをいろいろと仕掛けていきます!」
●ソーメン二郎氏のブログ:http://somendo.blogspot.jp/
<取材・文/北村土龍 写真/鈴木千幸>
【関連キーワードから記事を探す】
うどん・天ぷら・カレーが「968円で食べ放題」。異常コスパの“行列ができる”うどん新店を実食した結果
【2025年はすでに682杯】「毎日2杯の麺」を食べ続ける31歳女性を直撃。「麺以外の食事はお寿司やステーキ」健康診断の結果は
「世界最大のラーメングループを目指す」吉野家HDに、京都発ラーメン店が決断「社員の幸せを考えて…」
資さんうどん「年間540万個売れる」和スイーツが存在するワケ。“うどんと交互に食べても”違和感がない
業界1位「丸亀製麺」と2位「はなまるうどん」の序列が決まったワケ。「資さんうどん」はうどん業界の序列に変化をもたらすか
超有名店監修の「コンビニ二郎系ラーメン」…あの麺のワシワシ感もほぼ再現
家飲みにオススメ!1杯当たり150円で飲めるウマいウイスキー10選
日本人初ミシュラン3ツ星店スー・シェフが考える「ヴィーガン料理」の意味
海外旅行後に食べたいものベスト10。白米、味噌汁を抑えての1位は…
なぜロンドン・パラリンピックのチケットは史上初めて完売したのか? 乙武氏が世界中を放浪して気づいたこと
ファミレスの会話が原因で「サッカー練習場のGoogleマップ」に“嫌がらせクチコミ”…少年サッカーチームが絡まれた“クレーマー”の実態
「そうめんは不当に格下扱いされている!」そうめん研究家の熱い思い
行列が凄すぎて閉店した「六厘舎本店」が創業地で復活
散々な“口コミ”でも関係なく客が集まるラーメン店
【ラーメン店主】ネットで評価する人たちに苦言
ミツカンが炎上した「そうめん論争」で日本人の“国語力不足”が露呈。「ゆでるのも手間」投稿に「簡単だろ」と言い返す地獄絵図
「そうめんは“やっつけメシ”」と思っている人に足りない意識。マキタスポーツ流おいしい食べ方
低糖質生活の強い味方、「糖質オフめん」を美味しく食べるレシピ・ベスト3
「そうめんは不当に格下扱いされている!」そうめん研究家の熱い思い
「食事中のスマホ禁止」ラーメン屋店主の“見間違え”で注意された男性客。“無実の罪”に反論した結果…<漫画>
年間400杯「とんこつラーメン」を食べる48歳男性を直撃。体重の変化や健康診断の結果も教えてもらった
「ラーメン山岡家」が“右肩上がり”を続ける納得のワケ。「シャワー室」を設置する店舗も
【2025年はすでに682杯】「毎日2杯の麺」を食べ続ける31歳女性を直撃。「麺以外の食事はお寿司やステーキ」健康診断の結果は
「世界最大のラーメングループを目指す」吉野家HDに、京都発ラーメン店が決断「社員の幸せを考えて…」
この記者は、他にもこんな記事を書いています






