名将、敵将、後輩が語る「谷繁元信の凄さ」
「さっきシゲに言ったんだ。こんな状況(新記録達成の翌日で借金12)なんだから、今年は監督業をベンチのスタッフに任せて残りの試合は全部出ろって。監督業は来年またやればいいだろ。(本人は)笑っとったよ」
野村克也氏の持つ3017試合を抜き、プロ野球新記録となる3018試合出場を達成したドラゴンズ谷繁元信監督兼選手に対して痛快なコメントをくれたのは、権藤博氏(76)だ。来る日も来る日も投げ続けたドラゴンズのレジェンドは、谷繁元信監督兼選手が嬉し涙を流したキャリア初の優勝時(98年の横浜ベイスターズ・当時)の監督でもある。
足掛け27年目でプロ野球新記録となる金字塔を打ち立てた谷繁元信監督兼選手は、高校卒業後、ドラフト1位で大洋ホエールズに入団すると、経験がモノを言う捕手でありながら1年目から80試合に出場し、キャリアをスタートさせた。
大の負けず嫌いは入団当初から変わらない。球団名が変わった横浜ベイスターズでレギュラーを掴むと、98年に初優勝、日本一を経験。その後、01年オフに中日ドラゴンズにFA移籍すると、13年シーズンまで16年連続でAクラス球団で正捕手を張り続けた。
単純計算で一年間に100試合に出場しても30年掛かる大記録に加え、常に強いチームを牽引してきたその中身は、今回の新記録に更なる箔をつけた。
ドラゴンズOBであり、05~06年は横浜ベイスターズの監督として選手・谷繁と対峙してきた牛島和彦氏(54)は、谷繁評をこう語る。
「今は監督と選手が半々。早く100%監督業の谷繁の野球が見たいね。(選手時代は)インコース、インコースと来て、次は外だ!という場面でも更にインコースを突いてくる『念を押すタイプ』だった。監督専業になったらどんな野球を見せてくれるのか楽しみだね」
もっとプレーを望む声。専業監督への期待感。球界の先達からも幅のある評価が聞こえる。これぞ谷繁元信の魅力なのだ。
ドラゴンズで長年、谷繁のバックアップ捕手を勤め、惜しまれながら昨年引退したODAこと小田幸平氏(38)が最後にこんな話を聞かせてくれた。
「よく食べ、よく寝る、タフな人。どれだけ激しいタックルを喰らっても、涼しい顔してプレーを続ける。本当に強い人です。同じポジションで、誰よりも間近で見ていた僕からしてみたら、3018試合の重みは、皆さんが『凄い』と思っている以上に何倍も凄いことですよ」
そんな谷繁が本音を語っている週刊SPA!本誌連載中のコラム共々、プロ野球に堪能する真夏を楽しもうではないか! <取材・文/SPA!プロ野球班>
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