日本人初ミシュラン3ツ星店スー・シェフが考える「ヴィーガン料理」の意味
東京・恵比寿のイタリア料理店で4年間修業後、2002年にアメリカ・ニューヨークへ渡り、三ツ星レストラン「Jean-Georges」本店で日本人初のスー・シェフ(副料理長)となった男がいる。2014年、「ジャン・ジョルジュ東京」の開業に伴いシェフ・ド・キュイジーヌ(総料理長)に就任し活躍した米澤文雄さんだ。現在はエグゼクティブ・シェフとして「The Burn」(青山一丁目)で腕を振るっている。
「The Burn」はグリル料理を提供するレストランで、看板メニューは炭火で焼いた肉の料理だが、店ではヴィーガンメニューも提供しているという。近年、食において「ヴィーガン」(vegan)への注目が集まっている。いわゆるベジタリアンではなく、肉や魚のほか、卵、牛乳、チーズ、バターなど、あらゆる動物性食品を食べることを避ける「完全菜食主義」のことを指すが、何かと物議を醸すことがある。
日本人初のミシュラン三ツ星レストラン・スーシェフとなった米澤シェフは、昨今の「ヴィーガン」についてどう考えているのか。
「私がシェフを務める『The Burn』は炭火で焼いた肉料理を提供する店ですが、なぜ『ヴィーガン・レシピ』も提供しているのか? それは、宗教やアレルギーをはじめとしたさまざまな理由で『食の制限』がある人にも、それぞれが楽しめる食事を提供したい――。料理人としてこう考えているからです」
米澤シェフがこのような考えに至るようになったのは、修業先のアメリカ・ニューヨークでの経験からだという。
「2002年、ニューヨークへ料理修業に行きました。当時、ミシュランの三ツ星だった『ジャン・ジョルジュ』で約5年働いたのですが、世界中からさまざまなお客さまがいらっしゃいました。その中には、ヴィーガンメニューをオーダーされるゲストもいて、肉や魚の料理を食べているお連れの方と食事を楽しんでいました。
こうした光景を目の当たりにして、食べる側の事情やニーズ、多様性を受け止める料理人、レストランでありたいと思うようになったのです。また、訪日外国人が増え、東京五輪を間近に控える日本では世界的な食の潮流から目を背けることはできない状況になっていると感じます」
日本でもヴィーガン料理が必要な理由
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