日本の新車販売ランキング、よく見たらダイハツだらけ!なんでこうなった?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
昨年12月の登録車(普通車のこと)の販売ランキングを見ると、いつのまにか凄いことが起きていた。
統計上は、1位カローラ、2位ライズ、3位プリウスとなっている。2位のライズは、ダイハツが開発した小型SUVのトヨタ向けOEM車で、11月の初登場でいきなり4位に入ったが、12月は2位に躍進していた。
ところがこのライズ、ダイハツが開発して生産しているだけに、ダイハツの販売店でも「ロッキー」の名前で売られている。この2台、見た目がちょっと違うだけで、実質的には同じクルマだが、この2台を合計すると、カローラを上回って販売台数1位になる。
さらには、7位、12位、39位には、これまたダイハツが開発・生産している小型ミニバン、ルーミー/タンク/トールが入っていて、この3台を合わせると(※スバルが販売しているジャスティも姉妹車だが、50位までに入っていないため除外)、これまたカローラを上回ってしまうのだ!
再集計すると、販売ランキングはこのようになる。
1位 ライズ/ロッキー 1万2631台
2位 ルーミー/タンク/トール 1万1939台
3位 カローラ 9184台
なんと、ダイハツのワンツーフィニシュじゃないか!
軽自動車の販売ランキングでも、昨年11月、ダイハツの新型タントが王者ホンダN-BOXを逆転して1位になった。12月は4位に落ちたが、メーカー別の軽自動車年間販売台数(2019年)では、ダイハツがスズキを抑えて第1位だ。
日本の自動車販売はいま、実はダイハツが席巻しているのである!
トヨタは、10年前に豊田章男氏が社長に就任して以来、「もっといいクルマづくり」をテーマに掲げ、愚直に「もっともっといいクルマを!」と訴えてきた。トヨタと言えば80点主義、あるいは「販売一流、技術は二流」などと言われ、売れるけど中身は薄いというイメージがあったが、それを根本から変えようというわけだ。その成果が近年、全面的に開花しつつあり、新型カローラの出来のすばらしさは、カーマニアも完全に唸らせた。
一方ダイハツは、長年トヨタ傘下で軽および小型車の開発を担当し、地道に分業をこなしてきたが、こちらも親会社と一体でいいクルマづくりを目指していて、今年発売された新型タントは、これまた驚愕するしかないほどいいクルマになっていた。
そのいいクルマづくりの土台となっているのが、クルマの車体骨格であるプラットフォームだ。トヨタはこのプラットフォームを完全に刷新し、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と名付け、15年発売の新型プリウスから導入。走りの質感を劇的に向上させたが、ダイハツはその下の軽や小型車クラスを担当し、DNGA(TNGAのダイハツ版)としてタントから導入。第2弾がライズ/ロッキーだったのだ。
ライズの評判を聞きにトヨタディーラーへ行ってみたところ…
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