ダメだった飲食店のお酒のテイクアウトが新型コロナでOKに。そのカラクリは?
飲食店は、お酒を提供して飲んでもらうことはできますが、持って帰ってもらうことはできません。生ビールであろうが、瓶ビールであろうが、封を切っていようが新品であろうがNGです。その理由は、酒類販売業免許がないからです。
「だったら酒類販売業免許を取ればいい」と思われるでしょうが、そこにはちょっとしたハードルがあります。明確に販売スペースを分けたり、横流ししないようにする必要があるのです。通常の飲食店は、お酒を酒屋から卸値で購入しています。卸値で仕入れて飲食店で売ったら、不当に安く売ることもできます。これは飲食店を守るためのルールなのです。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、現在多くの飲食店が通常通り営業できず、仮に店を開いても客足はほとんどありません。人件費は国が支援してくれていますが、家賃が致命的です。売り上げがないのに大きな金額を支払うのは体力が持ちません。筆者の経営する原価BARでもすでに2店舗2か月分まるまる赤字を食らっています。
そこで、従来から多かった「飲食店での酒類の持ち帰り販売したい」という要望を可能にするため、国税庁は酒類販売免許を期間限定で許可することにしました。これは素晴らしい対応です。6月30日までに申請すれば、6か月間の期限付きで免許が与えられるのです。しかも、登録免許税もかかりません。未開封の商品だけでなく、開封済みのものも販売できます。
飲食店からの申し込みが殺到することが見込まれているので、申請手続きを簡素化し、免許は迅速に与えられるようになっています。原価BARでももちろん申請しました。当初、数日で付与されると言われていましたが、混んでいるのか6日前に申請して、4月23日現在まだ連絡がきていません。今は休業しているので問題ありませんが、緊急事態宣言の期間である5月6日までには処理してほしいところです。
当然ですが、新型コロナの事態を逆手に取って儲けようとするのはNGです。この免許で販売できるお酒は、すでに扱って在庫のあるもので、既存の取引先から購入したものだけです。「○○酒の需要が高そうだ」と、今まで取引がないところから買おうとしてはいけません。デリバリーも可能ですが、都道府県をまたいで酒類を販売することはできません。
申請時には各種申請書や法人の登記事項証明書、もしくは住民票写しなどが必要です。国税局が公開しているパンフレットを参考にしましょう。簡易的な審査で免許を付与された後には、きちんと審査をするために追加の書類も必要になるので準備しておきましょう。
6か月間の期限付きで飲食店もお酒の販売がOKに!
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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