第507回

4月22日「お金がちらばらなくなるだけ」

・YouTuberが年収ウン億ってネタで大騒ぎする番組を最近よく見るけど、テレビ側の「こんな仕事で?」っていうような上から目線に驚く。テレビ番組作ってる人、特に局や大手制作会社のサラリーマンの人たちは、危機感もってないのかな。

・このマーケットはいきなり湧いたわけではない。現在のカリスマYouTuberレベルの人気タレントはテレビの世界には何百人も存在しているわけだし、その人気はちゃんと経済効果につながっている。ただ、その収益は個人に直接渡ることなく、何千何万という人々に分配されていたわけだ。マスメディアをとりまく産業に関わる人々に。その中にはもちろん仕事してる人もいるし、全く仕事してないのに年収ウン千万もらっている人もいる。

・YouTuberの収益は、効率化によって個人から大衆に情報が直結して、お金の流れ方が変化し始めている現状の一角にすぎない。この現象が加速していくのは当然で、特にコンテンツ代金の流れについては今後ますます直接的になっていく。マスメディアの摩擦係数が激減していく。と、その摩擦熱で暖まっていた人たち、何もせずにただふんぞりかえっていた方々が、凍えはじめることになる。

・既存の人気タレントの中にも今の100倍稼いでもおかしくない人もいるのだ。ただし、もちろん逆もあり。マスメディアの中で輝くことができても、視聴者と直接繋がるネットメディアでは嫌われるタイプのタレントもいる(ここはとても大事なポイントなので稿を改める)。

・フリーランスとして、インデペンデントな活動でファンと直接繋がって収益を直接得るプロフェッショナルはどんどん増えていくと思う。ミュージシャンや作家、芸能人も一部は拠点をネットに移すようになるだろう。

・さて、一番大事なこと。こういう場所にシュバってくる大人たちって、まず学校作ろうとしたり団体作ろうとしたりするんだけど、これに関してはそれが大きな勘違いだって、わかるよね? そもそもシステムや権威付けがなくてもOKだからこそ急成長しているジャンルなのである。

2018.04.22 |  第501回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。