第509回

5月6日「ゲーム実況を地上波でやるとつまらなくなる?」

・「無名の素人がやってるゲーム実況が100万再生とかいくらしい。じゃあ有名なタレント使ってやってみれば100億再生じゃないか!」的な企画書でスポンサーつけて作られたテレビ番組が次々と失敗しまくった時期があった。ゲーム実況はネットで生まれ、育った文化だ。マーケットとしても巨大なものになったが、そのまま一方向のマスメディアに持ってくるのはうまくない。というか、持ってくる意味がない。そこでコツがいるのだ。

・「じゃあそのコツを教えてよ」と言われて一生懸命話すこともあるが、そういうこと言う人に限ってゲーム実況をぜんぜん見てなかったりするので、話が通じない。ネットにはネットの、テレビにはテレビのやり方がある。そこを理解しようとせずただ収穫だけをしようとしてるのなら、うまくいくはずがない。

・「マスメディアの中で輝くタレント性と、ネットメディアで好まれるタレント性」の違いについて前に少し書いた。YouTuberやゲーム実況者として人気が出ている人達に共通している個性とは、「一緒の部屋にいても不快でない人柄」だ。

・ネット番組は、映画やテレビのように別世界を外部から観賞する感じではなく、同じ部屋でゲームやったり雑談やったりする感じで視聴するものだから、直接的に生理感覚に触れてくる。視聴者としてはそのタレントを、自分の動物的な「なわばり」に迎え入れることになるわけだ。格好よかったり面白かったりする人でも、旅行で一緒の部屋に泊まってくださいと言われると「ちょっとなあ」となるタイプ、わかるでしょう。逆にそんなに魅力的とは思えないけど同じ部屋にいて安らげる人って、いるものだ。

・そしてネットでエスタブリッシュされた人気者は、テレビに出るために芸風をテレビに合わせるメリットがないことは、テレビ側の人は知っておいた方がいい。ネットで、自分で勝手にやってれば十分稼げるのである。

2018.05.06 |  第501回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。