第84回

02年9月20日「ゲームセンターはどうだろう」

・アミューズメントマシンショウ@東京ビッグサイト。アーケードゲームは家庭用ゲームとの競合を避けることによって新領域を開拓し続けてきた。’80年代の体感ゲーム、’90年代の対戦格闘ゲームやクレーンゲーム、そしてプリクラ。それらに続くトレンドを今、各社が模索している。

・ミキサー車のようなドラムをぐるぐる回転させる巨大ビンゴゲーム『ビンゴパーティースプラッシュ』(セガ)等、特にメダルゲームやカードゲームに新展開が見られる。トミーのフィギュア入りチョコ『チョコベーダー』には「召還コード」のカードが入っていて、それでウェッブゲームが楽しめる。さらにそのゲームと連動するアーケードゲームをナムコが出展していた。面白い試みだ。

・プリクラの進化形のものとしては、筺体の中でドラマを体験しながら写真を撮る『いつか王子さまが』(アトラス)が、ウけていた。こういう苦闘の中から、何かがきっと生まれてくるはずだ。

02年9月21日「そして家庭用ゲームは」

・家庭用ゲームの祭典、東京ゲームショウ@幕張メッセ。『テイルズオブディスティニー2』『スターオーシャン3』『ブレスオブファイアV』など、年末商戦ではRPGの大作が揃う。ただ、続編ばかりなのでちょっとわくわく感にかけるかな。

・新規性としては、やはりネットワーク関係に期待したくなる。今回オンラインゲームでは、パソコンの世界からゲーム・マーケットに進出しようとする海外メーカーの勢いが目立った。台湾のガマニア社は単独で巨大ブースを構え多数のタイトルを並べていたし、韓国のNC社は人気ゲーム『リネージュ』の新作を派手に発表していた。アメリカからはゲイツ印のXboxが、ネットワーク対応システム「Xbox Live」を大々的にショウイング。簡単にオンラインゲームを体験できるインフラとして、巻き返しをはかるということだろう。

・もちろんソニー・コンピュータのブースには「プレイステーションBB」画面がショウイングされた。これまで事実上『FFXI』専用だったわけだが、いよいよ今秋から様々なサービスがスタートするらしい。ブラウザーも新バージョンのものが公開されていた。映像から映像へリンクしていく、新しい概念のシステムになるようだ。

・ただし今重要なことは、ここで、どんなことをやっていくかである。よほど強烈なイメージがないと、クリエーターもユーザーも、わくわくすることができない。基調講演で『2001年宇宙の旅』や『マトリックス』といったSF映画を参照しながら未来ビジョンを提示したソニー・コンピュータ久夛良木社長の姿勢はそういう意味で正しいと思う。ジュール・ヴェルヌが『月世界旅行』を書かなかったら人類は月に行こうなんて考えなかったかもしれない。

02年9月22日「予言的中」

・幼稚園~小学校の頃の友人から突然メール。30年会っていない人だ。

・一緒に通っていた幼稚園の、卒業式の時の寄せ書きの写真を添付してくれた。そこに僕は「わたなべこうじのだいよげん。2002ねん、とうきょうわんから、かいじゅう、じょうりく」と、書いている。

・卒業記念の寄せ書きに未来の予想を、しかも2002年なんて半端な年のことを書くなんて変な奴、と思って記憶に残っていたそうだ。それで、最近のタマちゃんフィーバーの報道を見ていて、はっと思い出したという。

・そうだ。僕も思いだした。かいじゅうというのは怪獣ではなく海獣のことだったのだ。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。