第94回

02年11月23日「中村愛美さん」

・渡辺原作のテレビアニメ『プラトニックチェーン』に、女優の中村愛美さんがゲスト出演。声優初挑戦らしい。

・このアニメ、技術的には日本のマンガやアニメのキャラクターを、そのままのセンで3Dに起こすことに注力している作品だ。絵のテイストが変わらなくても、3D化することによってキャラクターの肉体性はすごく高まる。女の子達それぞれの体の固さや柔らかさ、重さや軽さまでを伝える表現が可能になる。

・その段階において、アニメ界でこれまで長期間かけて熟成されてきた手法とは別のものが必要になってくる。例えば訓練されたいわゆる声優喋りだけでなく、普通の女の子が地声で喋るような声がはまるシーンもある。だからこのシリーズでは専業の声優さんだけでなく、こういう人の起用も多く行っていくことになった。

・中村愛美さんの役柄は”謎の女子高生”。彼女自身のリアリティーが伝わるような、モエモエな設定。マニア必見。


02年11月26日「大賛成」

・スクウェアとエニックスの合併。どのみちこの2社はすでに一枚岩といえる。『ドラクエ』と『FF』が選んだゲーム機が事実上スタンダードになってしまうわけだから、別々の道を行くわけにはいかないのだ。

・そしてゲーム業界においてRPGは、ハリウッドのメジャー映画と同じようにシステマチックに大作を仕上げていくパターンがメインになりつつある。としたら大企業化は良い効果を生むだろう。そしてハリウッドと同じく、メーカーの役割は出資とプロデュースと配給に、比重が高まる。そのサポートによって、インデペンデントな立場のクリエーターも、やりやすくなるかもしれない。

・ただしエニックスとスクウェアの企業風土の違いは大きいので、現場がいったいどういう状況になるのか、人ごとながら気になる。エニックスの人はたいていバスか電車で来るが、スクウェアの人はリムジンでやって来る。エニックスの人と飲むときはたいてい赤提灯で酎ハイだが、スクウェアの人は銀座でドンペリをおごってくれる。どちらが良いか悪いかということはないが、それくらいの違いがある。

02年11月27日「厳寒の東京から」

・赤道直下のシンガポールにいきなり行くことになった。以前、同国の経済開発庁の取材に協力した話をここに書いたが、今回はそのお礼にと招待頂いたのだ。大学やデジタルエンターテインメント系の企業を回って、特に若い方々と話をしたいと思っている。

・20年ほど前に長期間滞在していた思い出の地なので、ちょっとぶらぶらできるくらいの時間もとった。そういえば最初に行った時、シンガポール航空の機内でスチュワーデスさんから「長髪の男性は入国を拒否される」と言われ、肩まであった髪をトイレでばさばさ切ったことを思い出した(今はそれほど厳しくない)。

・それはともかく、IT時代、ソフトウェア業界の事情については少なくともアジア全域くらいはひとまとめに考えられるくらいの視点は必要だと思う。中国や韓国の情報に比べシンガポールの情報はなぜかすごく少ないようなので、帰ってきたら詳細をレポートする。

2005.01.31 |  第91回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。