渡辺浩弐の日々是コージ中
第97回
02年12月14日「フェラーリ買うより」
・あの「年じゅうコミケ状態」中野ブロードウェイに、店を買ってしまった。クリエーター仲間で、賞金や印税を出し合っての贅沢。といってもフェラーリ買うより安いのである。
・借りるのではなく買ってしまった理由は、ここでドラスティックなことを、しかも長期スパンでしでかしてくためだ。裏事情、今後のプロセスなど、しっかり記録し、公開していく。それにしてもこのプロジェクトのおかげで急にものすごく忙しくなった。
・そこでスタッフ募集します(こちらに応募下さい→premiere@gtvnet.co.jp)例えば現場のビデオ撮ったり、文章まとめたりする作業を、手伝って下さい。ブロードウェイという場所に興味のあるクリエーターさんも、アクセス乞う。
02年12月15日「ちょっといい話」
・中野ブロードウェイに。店は、バブル期を通じて持ち主を転々とした、いわくありげな物件である。ずっと狙ってて競売にかけられたところを押さえたのだ。
・中に入ると、冷気とそして消毒薬の匂いに包まれる。受付のような窓や、待合室のような空間がある。奥に進むと壁に赤茶けたしみ。床が、ベッドの形に変色している。そして散乱するメスや鉗子。どうやらここは診察室だった場所らしい。
・窓をこじ開けるとその下には、昭和30年代から全く変わっていないスナック街の風景が広がる。僕がそっちに気をとられている時、スタッフの一人が、窓の桟の上に白いかけらを発見した。もしや、と思って天井裏を調べると同様のかけらがたくさん出てきた。さらに床下を開けて調べると、そこからも、大量に。
・いぶかしく思い、調査にかけることにした。
02年12月16日「40歳」
・朝日新聞の取材を受ける。「不惑」をテーマに、今年40歳を迎えた人の連続インタビュー企画らしい。1月初旬くらいに載るそうです。
・この年齢は、おたく系の犯罪者がとても多いそうだ。インタビュアーの記者と話し込むうちに、大人に恵まれなかった世代ではないか、という見方に。だから自分の価値観で勝手に生きるか、メディアの中に展望を見いだすしかなかったのではないか、と。
・自分の記憶をたどると、特に義務教育において尊敬できる教師は一人もいなかった。これは主観的な意見ではない。後から調べたら中学生当時僕らの学年を担任していた10名のうち、わかっただけでもセクハラでクビになった者が1人、暴力でクビになった者が1人。
・ホモセクハラまであった。中1の頃、中年教師(男)に放課後に呼び出されて体を触られそうになった。ふざけるなと大声を出したらさすがにセクハラはそれきりになったが、それから1年間、陰湿な意地悪と成績操作をされ続けた。内申書とか偏差値という言葉が出始めの頃、こういうことは全国でよくあったことだと思う。僕は志望校を内申書の不要な私立高校にさっさと決め、ほとんど学校に行かなくなった。
02年12月17日「白いかけら」
・中野ブロードウェイ「白いかけら」の分析結果が出た。
・全て、骨。それも、正真正銘、人骨の成分だということがわかった。それも、遠い昔ではなくこの数十年のものらしい。ちょっとやばいかもしれない。続く。