第118回

03年6月3日「自分で作るぞ」

・『中野ブロードウェイ探偵ユウ&AI』(講談社ノベルス)が、刷り上がってきた。ハッカー探偵・小林ユウとバーチャル美少女・AIが、コンピュータ業界のドンと呼ばれるニンテル社ビル・ウォール会長の仕掛ける新ゲーム機「Nボックス」をめぐる陰謀に立ち向かう……って話。着手から完成までまる1年、その過程で中野ブロードウェイに引っ越してきてしまったという経緯もあり、感慨無量。

・そして中野ブロードウェイ仲間・木ノ花さくや先生のコミックス『エンカウンター ~遭遇~』(新潮社バンチコミックス)もめでたく仕上がっていた。こちらにもユウやAIが、ちょっと変わった関わり方をしている。

・そしてまだまだ、仕事は終わらない。勢いにまかせて木ノ花さくや先生と僕で、この2作品をテーマに「本人同人誌」を作ることにしたからだ。中野ブロードウェイに泊まり込んで作業中。

03年6月5日「急いで!」

・同人誌、間に合ったぞ! しかも全く違う内容のものを、いっぺんに複数種類作ってしまった。それぞれ、別のルートで配布してみようって魂胆なのである。

・まず第一弾は、中野ブロードウェイ内の書店『明屋書店』(03-3387-8451)で購入された方、先着で100名様に差し上げてもらうことに(遠くの人は、一応在庫を確認してから買いに来た方がいいかも)。

03年6月6日「コインロッカー・ベイビーズ」

・というわけで『中野ブロードウェイ探偵……』発売日。明屋書店ではサイン本が午前中に売り切れてしまい、あわてて店頭に駆けつけてその場でサイン。

・てなことやっている折も折、中野ブロードウェイ前のコインロッカーで時限爆弾騒ぎがあった(=写真)。小説の内容に怒ったビル・XXXの仕業か!? なんて一瞬あせったけれど、どうやら違うようだ。ホッ。

・ところで中野ブロードウェイ周辺のコインロッカーって、荷物入れっぱなしで長期間放置状態のものがすごく多い。料金表示が4000円や5000円になってることもざらなのだ。一体誰が、何を入れてるのか、積年の疑問だった。

・だからこの機会に警察官がそういう怪しい扉をチェックしている様子を、こっそり見物させて頂いた。もちろん現場は黄色いテープで囲まれ、爆発物処理班も待機するものものしい雰囲気。そしてゆっくりと開く扉。

・そして出てきたものは……大量の同人誌や美少女フィギュアだった。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。