第131回

03年9月2日「クイントでグイント」

・スクウェア・エニックス社にて密談。極秘の新プロジェクト進行中。それにしても、スクウェアの人とエニックスの人がデスクを並べているのは未だに信じられない光景である。

・ところでこの会社が入っている新宿クイントビルに入るとなぜか自動的に元気が出てくるという人が多い。マイナスイオンのせいか、ドラクエとFFの2大RPGの新作リリースを控えたスタッフの元気が伝わってくるせいか。などと思っていたら別の理由に今気付いた。1階にファイザー製薬が入っていて、バイアグラの錠剤と同じロゴがビル入り口に大きく表示されているのだ。みんな条件反射で元気になっていたのだった。

03年9月11日「玩具屋化するゲームセンター」

・東京ビッグサイトにて、アミューズメントマシンショー。注目はセガの『アウトラン2』。前作も阪神優勝の頃だったっけ? CG技術が高度化すればするほど息苦しいものになっていくレースゲームに、久々「爽快感」に徹底した映像を問う。いい感じ。

・さてこのイベントのカラーなのかもしれないが、ビデオゲーム機よりもプライズ関連事業が元気に見える。とくに景品のラインナップには目を見張るし、自分でも欲しくなるものばかりだ。実際、最近のゲームセンターってクレーンゲーム等プライズものばかりが並んでいて、ゲーム画面に熱中してる人はあまり見かけなくなってしまった。

・そして広義のプライズゲームであるパチンコ・パチスロ業界はますます元気で、アルゼ、サミーなど順調にゲームセンター進出を果たしているメーカーもある。ここは一つ、ビデオゲームも景品と組み合わせて提示したらどうだろう。『アヴァロンの鍵』など、カードではうまくいってるんだし。


03年9月12日「ゲームセンター化する映画館」

・『スパイキッズ3-D』試写。スパイキッズ・シリーズはマンガチックな設定をマジに実写でやってしまうあほらしさが魅力。例えば女の子がお下げ髪を振り回してタケコプターみたいに空飛んじゃうとか。それが今度は「3D立体映画」ときた。アイマックス・シアターやディズニーランドで体験できる、例の液晶ゴーグル式ではない。なんと赤青セロファンメガネをかけて見る、1950年代に流行したスタイルを引っぱり出してきた。

・全世界の子供達を洗脳しようとする3Dゲームを停止させるため、そのバーチャルワールド内部に自ら入り込んで戦うスパイキッズ姉妹。と、書いててイヤになるほど陳腐な設定。しかし 1.マンガチックな設定 2.CGと実写を合成する手法 3.最古の3D映画システム ……それぞれをきちんと生かして生真面目に作ることによって、かつてなく新しくしかもメジャーな作品が仕上がっているのだ。

・つまり「枯れた技術の水平思考」である。この映画をバーチャルボーイで見たかった。

2005.10.30 |  第131回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。