第134回

03年9月27日「東京ゲームショウ その2」

・さてTGSレポートの続き。前回の「そんなものを盛り上げようとする輩はハイテク詐欺師だ」話からはとても繋げにくいのだが、今回主催者側がいちおしで盛り上げようとがんばっていたのは「オンラインゲーム」だった(苦笑)。

・この手のゲームをいっぺんに体験できる機会は得がたいので時間をかけていろいろと試してみたが、マニアのマーケットを逸脱してメジャーになっていくことはやはりまだ、難しいように思える。その代わりといってはなんだけど、携帯電話、特にFOMAには(ゲームのインフラとして)大きな可能性を感じた。NTTドコモのブースでは「iモードの次期端末」という曖昧な表現の端末見本上に『ドラクエ』と『FF』の試作品が動いていて、これが素晴らしいクオリティー。RPGには十分なレベルの映像(スーファミくらいかな?)がスムーズに動く。文字もくっきりはっきり読みやすい。

・50Xシリーズの次は大容量アプリのメイン端末としてFOMAが浮上する。そこにキラーコンテンツとしてゲームを一挙に持ってくる、というのがドコモの戦略なのだと思う。ゲームを載せていく上で最大のハードルとなっている転送スピードとパケット量の問題も、FOMAならクリアするだろう。そして、この端末上にRPGを作り込めばそれをネットゲーに進化させることは簡単なのである。堀井さんは今こそ『電脳空間RPG』制作を再スタートするべきなのだ。

・パッケージソフトについては、ひとことで言うと「大豊作」。ミリオン級の大作が順調に仕上がっている。フル3Dのバーチャル・アクターとして遂にハリウッド級の俳優(ジャン・レノ)を起用した『鬼武者3』、陰鬱なジャングルの戦闘風景をリアルに描き『地獄の黙示録』を彷彿させる『メタルギア・ソリッド3』等々、超大作シリーズ最新作は、いずれも最先端のCG技術を本格的に導入して制作されている。ショウイングが見送られたがトゥーンシェードによる3D-CGのキャラクターをリアルタイムで動かしてみせる『ドラクエ8』や、解散した映画製作スタッフを投入していると噂される『FFXII』も、もちろんそうだろう。

・ただしソフトの大作化については、このあたりが飽和点だ。ここから先、パラダイムの変換を見ることになるのだろうか。

・以下、写真でレポートします。


・コナミブースは『メタルギア・ソリッド3』の上映のたびに人の波。ジャングルの独特の空気感を現出。


・コナミ、タカラ、ハドソンのコラボレーション効果で高橋名人とリカちゃんのステージ共演も実現。なんかすごい絵ではある。


・『ドラクエ』『FF』が次期iモードの画面上に降臨。


・SCEブースのイチオシは『EyeToy;Play』USBカメラを使って自分の体ごとゲーム画面に入って遊ぶ。


・巨大コントローラでマニアを捉えた『鉄騎』が『鉄騎大戦』としてオンライン対応。カプコンブースとX-boxブースを繋いでの対戦中。


・『マジック・ザ・ギャザリング』のオブジェは全ブース中の最高傑作かも。


・テーブルゲームコーナーも。『カタン』などプレイ中。


・セガ『どろろ』のノベルティー。いい感じに危ないゲームになりそうな予感。


・このブースには正直びびった。指名はできませんでした。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。