第135回

03年9月29日「水平思考で?」

・玩具店に。ゲームショウで見た『剣神ドラゴンクエスト』(スクウェア-エニックス)と『evio』(トミー)を買う。会場では恥ずかしくてあまりできなかったのだ。前者は画面に向かって剣を振るって進んでいく形式の体感RPG(ていうか説明不要だと思う)。後者はバイオリン型の音ゲー。どちらもゲーム機は不要で、システムを直接テレビ画面に繋いで即プレイのシンプルさがいい。

・調べてみるとこの2作品だけでなくエポック社の「体感ゲームシリーズ」(釣り竿やバットの形をしたコントローラーを振り回すやつ)も、「新世代社」という若いベンチャーの技術によるものらしい。この会社、要注目である。

・さて、任天堂が中国で出す『神遊機』は、コントローラー自体がゲーム機で、テレビにそのまま繋いで即プレイの簡単さだ。今こういうマシンを出してくるあたり、さすが任天堂というしかない。


03年10月1日「なんとDVD化」

・カルト・ムービー『高橋名人VS毛利名人・激突大決戦!』DVD化の話。エンターブレインから発売されるファミコン20周年メモリアルDVD(12月1日発売予定)の中に収録されるという。この映像の制作スタッフとしてインタビューを受けた。

・『ロッキー4』と同時期に公開されることになると聞いて、対抗してやろう思ってシナリオを書いたのだ。『ロッキー4』はスタローン演じるボクサー・ロッキーが、ドルフ・ラングレン演じるソ連人ボクサー・ドラゴと戦う設定だった。科学の粋を集めサイボーグのように仕上げられていくドラゴに対し、ロッキーの方は倉庫にぶら下がる豚肉をぶん殴ったり広場で鶏の群を追い回したりと野性的なトレーニングをする。

・僕は高橋名人を日本のスタローンに、毛利名人をドルフ・ラングレンにしてやろうと思った。というわけで毛利名人がピアノを鮮やかに弾いたりしている一方で高橋名人に土方さんをやらせたりスイカを16連射で爆発させたりした。

・「パワーの高橋、テクニックの毛利」というキャッチフレーズで、コロコロ等にもパブリシティーを盛り上げてもらった。しかしちょっと考えればテクニックが勝つに決まっているのだ、ファミコンなんだから。

・さて当時の日記をサーチしていて、その映画シナリオのギャラをいまだに貰っていないことが判明した。それどころか立て替え分の経費も戻ってきていない。ビデオ化印税も、貰ってないぞ。良い機会なのでこのDVD出たら訴えてやろうかと考えている。

03年10月3日「シュワとノックの違い」

・俺、アーノルド・シュワルツェネッガーとテレビで対談したことがあるんだぜ。「じゃあコージー次の映画にはぜひ出てくれよな」とまで言われた仲なのだ。証拠のビデオもあるぞ。

・それはさておきその時ちょっと感動したことがある。彼が普段は美しいクイーンズ・イングリッシュを操ってたことだ。指摘したら「実は今でも毎日英語のレッスンを受けている」と(彼はオーストリアからの移民)。ところがテレビカメラが回り始めると口の中にコインのようなプラスチックの板を入れるのである。それであの低い舌足らずの声になる。あの喋りは演技なのだ。

・さて、政治家候補として演説している時の彼はどうかというと……やはり、口に板を入れてる喋りだった。横山ノックですら政治家になる時に額のチョロ毛を外したというのに。。

2005.11.16 |  第131回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。