第161回

4月12日「新企画」

・三才ブックス『ゲームラボ』編集部にて、担当編集者の岩田さん、ライターのジャンクハンター吉田さんらと打ち合わせ。そういえばこないだテレビのクイズ番組みてたらこの吉田さんが「ファミヲタ王」になってて驚いた。

・『ゲームラボ』では「三才のハローワーク」というコラムを始めた。おたく系業界周辺の変わったお仕事(『コスプレイヤー』とか『ハッカー』とか)をレポートする、という企画だ。さすがは三才ブックスで、非常にレアな現場や人物を次々とセッティングしてくれる。

・ITやゲームの業界って妙に向上心のある人達ばかりに光が当たる。そして実績ではなく大ボラの方がもてはやされてしまいがちだ。しかしB級志向というか極私的な幸福を追求している人達こそが、実は非常に面白いのである。いろんなところに行ったりいろんな人に会ったりしてるうちに、ここに文学(の、ようなもの)のタネがあるんじゃないかという気までしてきている。

・ところで村上龍さんの『13歳のハローワーク』では「マンガ」「ゲーム」「アニメ」の項目が意図的に除外されているのが非常に残念。

4月14日「新学期」

・新学期が始まった。早稲田は本庄に新キャンパスをオープンしており、デジタル系講義の大半はそちらに移転済みである。ただし僕の授業はまだ早稲田でやっている。こないだ書いたように遠隔授業システムを稼働させているわけだ。

・国際情報通信研究科は社会人の学生も多いので、新キャンパス(本庄)に通うのが困難な人も多いと思う。来年以降は逆に都心にいて本庄の授業を受けられるシステムを作って欲しいとも思うのだが、そうなってくると「大学」という仕組みそのものの意義が問われるということもある。難しい。


4月20日「新連載」

・集英社にて。例の野村さん他j-booksウェッブ(http://j-books.shueisha.co.jp)のスタッフと、デジタル小説連載の打ち合わせ。本来は今日からスタートのはずだったが、直前で延期が決まった。申し訳ない。ちょっとヘビーな描写があるので、最初にきちんと確認しておこうということでありました。

・この小説を含め、プラトニックチェーン・シリーズをしばらくはきっちり書いて行こうと思う。このテーマが現実社会とシンクロしてきた。つまり今がタイミングだと思うから。

・新しい時代の幕開けは「見る」そして「見られる」という行為の意味の変革から始まる。大きな波は次々とやってくる。例えばケータイがICカードになった時、その所有者はネットワークの内部に取り込まれる。すべての行動を第三者に補足される可能性もある。ただし自覚と戦略さえあれば、これは決して悪いことではないと僕は思う。最近、個人情報流出がよく問題になっている。確かに情報を知られるだけでも気分が悪いものだが、問題は情報流出自体ではなく、それを使った追跡行為である。今の騒ぎはまだ序章で、驚くような事件がこれからたくさん起こると思う。そういう時代に大切なことは、顔を覆って逃げ隠れすることではなくて、しっかり両目を開いてこちらからも見ることだろう。

2005.12.17 |  第161回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。