渡辺浩弐の日々是コージ中
第166回
5月21日「ケータイ先進国?」
・『子猫をお願い』試写。20歳の女の子たち5人がスッピンで、普通に悩んだり笑ったり考えたり走ったりする日常。普通なのに一瞬も目が離せない。いきなり韓国映画にハマりそうである。
・ケータイがとても闊達に使われる。というか韓国って今そういう環境なのだろう。『猟奇的な彼女』でもそうだったけど、バスの中だろうが仕事場だろうが図書室だろうががんがん喋ってる。そんな状況もいいかもと思える。というかこれから元気なのはこういう国なのである。
・メールを打つシーンでは、彼女達の指の動きに合わせて画面上に文字が次々と現れていく。丸や四角や棒といったシンプルな記号が上下左右に次々と組合わさっていく。ハングルって、面白い。デジタル入力にすごく向いてる言語かもね。
5月22日「ハングルとひらがな」
・というわけで『冬のソナタ』まで今さら見ている。韓国ドラマの面白さはシナリオがハングルだからかもしれないとふと思った。
・ハングルは表音文字である。かつて韓国はこれと漢字を組み合わせて使っていたが、今はたいていこれだけで済ませてるらしい。つまり例えば日本語ならひらがなだけしか使わないようなもんだ。それでよく通じるもんだなあと思うが、でも普段僕たちが行っている会話、つまり音声コミュニケーションって、そもそもひらがなだけでやっているわけである。
・日常会話は双方向だから相手に合わせて言い換えたり(例えば「貴社の記者が帰社された」を「あなたのところのライターさん、かえりましたよ」と)、あるいは意味がわからない時は聞き返したりすることができるが、映像やアニメのセリフはそうもいかない。つまりシナリオは本来、「ひらがな」だけで書いてよく通じるものでなければならないわけである。
・マンガの原作などを書いていても、セリフって、漢字使わなくてもなんとかなるくらいにこなれていないとだめだとつくづく思う。良質なマンガは、吹き出しの中を全てひらがなにしてしまってもへっちゃらなのである。そしてゲームの場合、もともとはひらがなとカタカナしか使えなかった。ドラクエだって最初は漢字を使わずに、あれだけの壮大な物語を作っていたのである。
5月23日「日本漫画ヌン最高イムニダ」
・カンヌで”日本コミック原作”の”韓国映画”がグランプリを獲ったとのニュース。これは歴史的必然なり。
・日本のクリエーターが世界進出を目指すなら、マンガからスタートしてまず韓国を狙う、というのもありだよね。と思ってなんだかわくわくしてるところに、『プラトニックチェーン』を韓国で配信したいとのオファーを頂く。タイミングかも。
・そういえば僕、韓国で一冊だけ本出してるんでした。読めないけど。