第175回

8月2日「差別化はデザインから」

・『i,ROBOT』試写。白いロボットを、黒い刑事が徹底的に差別し、撃ちまくり、殺しまくる。どちらに感情移入しても胸にずんとくる。

・自意識ないし魂ないしゴーストを獲得してしまったロボットの悲劇。機械が生物に進化する瞬間……と、このテーマではアニメなど日本のコンテンツの方がずっと先を行っているわけだ。

・しかし映画としての新しさや爽快感は、圧倒的なデザインセンスによって、もたらされている。高度情報化社会の、都市やクルマや各種機械や、そしてロボットのデザイン。それらは、もしアップルが天下を取っていたら……というシミュレーションの先にある光景である。もちろんiROBOTのコンセプトはiMAC。

8月4日「錬金術は実在する?」

・『プラトニックチェーン』でお世話になっているスクウェア・エニックス社にて、田口プロデューサーと会う。同社はゲームだけでなくコミックやアニメ業界でのプロデュース力も定評がある。今、田口さんは『鋼の錬金術師』のブーム、そして海外進出で忙殺されてるようだ。いろいろと裏話を聞くことができた。極秘(?)映像もいろいろ見せてもらった。

・『鋼の錬金術師』は僕もアニメのクオリティーに唖然として慌てて原作マンガを買いに走ったクチで、マンガとアニメの展開の違いも非常に嬉しいし、劇場用映画も楽しみだ。テレビアニメはストーリー的にもいったんきちんと完結するらしい。

・さて「なぜ『鋼の錬金術師』は、ゲームメーカーのエニックスから生まれたのか」の理由を、コンテンツ業界、特に老舗の出版社はきっちり考えるべきだろう。考察は「なぜ、ドラクエで十分儲かっていたエニックスが出版業を始め、しかもノウハウ・ゼロの地点から続々とマンガ雑誌を創刊したのか」というところまで遡らなくてはならない。

・今の日本では新しい作品、新しいキャラクターを生み出す場所としてはマンガが有効だ。と思われているが、それは結果論でもある。ゲーム会社の目線からその力を認識し、解析した時、非常に面白いビジネスモデルが成立したといえる。

・「とにかく並べてみて、アンケートで振り落としていく」のとは違う、最初から計画して作るヒット作品の方法論があるのだ。そこでは従来の意味の編集者とは違う、全メディアについてのセンスがある仕掛け人の存在が重要のようだ。

8月7日「少林サッカーはどう?」

・中国の人達の熱い観戦態度みてると、街頭テレビで力道山見てた頃の日本人を彷彿させる。アジア杯とかオリンピックだからまずいわけだけど、ああいうノリも楽しいんだろうなあと思う。

・今、中国ってエンターテインメント系プロスポーツのビジネスチャンスだと思う。プロレスとかローラーゲームとか。悪役日本チーム作って、全中国ドサ回りするってのはどうだろう。さんざん暴れて、ブーイングの嵐の中、最後は中国人のベビーフェイスに勝たせてあげればいい。それくらいの度量があったことが、アメリカのショウビズのすごさだった。

8月9日「残暑お悦び申し上げます」

・『箪笥』見た。楳図かずお的な、陰鬱かつ耽美的なる家庭内恐怖世界を美少女の肉体が具現化する。スタイリッシュで、酷薄で、クール。涼しいー。

・姉妹萌えの人も、ぜひ。韓国の女優さんって、みんな、すごく綺麗。そして、鼻がとっても高いんだけど……鼻の穴は小さい方が多いですね。

・さて暑い夏っていいものである。地域限定かつ期間限定な話題で申し訳ないけど神楽坂『花』にコーヒーかき氷が復活してましたよ。昔はよくみかけたよね、濃いコーヒーをどろりとかけたかき氷。消えたのは見た目がグロいからかな?

2005.12.31 |  第171回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。