第186回

10月25日「リアル『ムシキング』」

・中野のマニア話はずいぶん書いてきたが、世界に誇れる秘宝系名所はまだまだある。例えば「むし社」や「爬虫類倶楽部中野店」。名前の通りの場所なので本当に好きな人だけチェックしてほしい。

・興味のある人にはそんじょそこらの動物園や博物館よりよほどエキサイティングだろう。特に「むし社」は、昆虫の輸入についての規制が緩和されて以降、すごいことになっている。僕らが子供の頃に図鑑の写真で見て憧れていたような大型の甲虫がずらりと並んでるのだ。もちろんみんな生きている。

・最近は『ムシキング』の影響で、小学生の客が急増している。飼育の難しい海外産のカブトやクワガタをがんがん買っていく。逃がしたりして生態系に影響を与えないようにね。

・僕は実はクワガタムシを飼っている(全部国内で、自分で採集してきたものばかりだよ)。昔は、水槽に木屑を詰め込んで使っていたのだが、最近は「菌糸ビン」というものが売っている。瓶の中の木屑に、白いキノコが繁殖しているものだ(=写真)。これを食べて、ものすごい勢いで幼虫は巨大化するのである。途中の手入れや掃除もほとんどいらない。一体どんな天才が考えたのか知らないがこれはすばらしいと思う。


10月26日「80年代SF映画の二次創作が始まる」

・『エイリアンVSプレデター』試写。2大SFモンスター映画『エイリアン』『プレデター』に加え、南極の雪と氷に閉じこめられる設定や遺跡トレジャーハンティングのストーリーなど、これは80年代SFX映画の集大成。

・オリジナリティーはないが、SF映画マニアにはこたえられない。エイリアンならちゃんとあの形状とあのぬめり具合だし、フェイスハガーもチェストバスターもあの”巣”もちゃんと出てくるし、プレデターはちゃんとあの変な性格だし。

・ポール・アンダーソン監督はものすごいオタクなのだろう。日本で生まれていたらコミケでならしていたかもしれない。ところでエイリアンとプレデター、どっちが勝つの? と思って見る人は最後のシーンまで瞬きしないように。

10月27日「前半『バトロワ』後半『キルビル』!?」

・チン・シウトン監督作品『レディ・ウェポン<赤裸特工>』試写。世界中から誘拐されてきた美少女100人が、孤島の秘密養成所で地獄の特訓を受ける。卒業テストは、互いに殺し合うこと。そして生き残った少女がプロの殺し屋としてデビュー、クンフーとお色気を駆使して大活躍……と、超ベタな展開。

・そしてチン・シウトンといえば『HERO』や『少林サッカー』のアクション監督であるわけで、敵の頭の上に片足で乗っかるとかドリルのように回転しながら跳び蹴るとか、例のバカアクション満載である。

・そもそもこういうモンドなノリは香港映画の十八番だったわけだ(中野貴雄監督は『秘宝系』と書いていた)。大監督も大スターも、ワイヤーアクション等のノウハウも、ハリウッドへの流出しきりという感がある今日この頃だが、しかしこの論理を超えた荒唐無稽さはちゃんと香港に残っている。それはシナリオすら作らずにいきあたりばったりのテンションでとり続け、強引につないで仕上げてしまう、独特の制作プロセスによるところが大きいのではないかと思う。キムタクは最後までそれに耐えるべきだった。

10月28日 「そんなに安くしていいの?」

・ソニーが発売する携帯ゲーム機「PSP」、20790円との発表。ものすごく安い。だってあの液晶(超キレイ)だけでも原価7000円くらいすると思うよ。けどハードの値下げ競争はソフトの高止まり前提なので、実はユーザーにとってはありがたくないことかもしれない。ハードは高くて良いので、良いソフトをたくさん安く売ってほしいと、本気のゲームファンは思っているはずだ。

2006.01.10 |  第181回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。