第198回

1月24日「命がけの散歩」

・「Gファンタジー」編集部にて担当の熊さん、マンガ家の遠野先生と打ち合わせ。

・『プラトニックチェーン』では、現在の東京の面白さをきちんと捉えたいという狙いもある。それで最近は街をうろつくだけではなく、穴場探しをやっている。とりすました風景の皮を一枚はぐと、そこにとんでもない光景が現れることがあるのだ。

・立入禁止の場所にも、入れたら入ってみる。線路を這っていたら電車が上を通り過ぎていったり、下水道に潜り込んだのはいいけどマンホールの蓋が内側からは持ち上がらなくて閉じこめられてしまったり。と、命の危険もときどきある(良い子はマネしないように)。

・そんな感じで取り溜めた資料写真をスクリーンに投影しつつ、キービジュアルを設定していく。重要な場所には、遠野さんや熊さんも一緒に行ってみようという話にもなった。今後の成果に乞うご期待。


1月25日「ゾンビに人権はないので」

・『ハウス・オブ・ザ・デッド』試写。セガの同名ガン・シューティングゲームを映画にしたもの。日本発のコンテンツがいろいろな形で国際化していくのはうれしい。

・体は良いけど頭は悪い若者達が、ゾンビがうようよしてる孤島に遊びに行って……という典型的なパターン。ただしかつては弱いからこそ恐ろしかったゾンビも今となってはどんどん強くなっていくしかない、と『ドーンオブザデッド』の時にも書いたかな。この映画でもゾンビ達は走り回ったり飛んだり跳ねたりして、やがて普通の人間と見分けがつかなくなる。

・つまりゾンビものはもうホラーではなくアクション映画にしていくしかないわけだ。人間はまずいけれども人間の形をしたゾンビならどんなに残酷にどんなにたくさん殺しても構わない、というコード事情からゲーム業界に成立したジャンルが、ここで有効になってくるわけである。

・押し寄せてくるゾンビ達を各種銃器でひたすら虐殺しまくるシーンを、ゲームCGではなく実写で映像化する、という目的だけのために作られた映画として観るべきものだろう。そして本当に「怖い」タイプのゾンビ映画は、今後は日本ホラー界から出てくるような気がする。

1月26日「熱いシーンから」

・ギャルゲーのコンシューマー機移植でがんばっているアルケミスト社、浦野社長と会う。マニアックなキャラクターを、マンガとアニメの力をうまく使って大きく展開していく、そういう仕事が最近は多いようだ。今年から来年にかけて、インディーズシーンからブレイクする作品が続出しそうだ。作家としてはメジャーと同人の両輪で走るような活動スタイルもありかもしれない。

・それから彼が仕掛けている萌えキャラ「びんちょうたん」のガチャガチャ向け新アイテム等をいろいろ見せてもらった。新作はキャラクターと乗り物や着物が分離する仕様である(メーカーはユージンだ)。この世界の巧みはすごいレベルに達してる。今コレクションしとけば100年後にはすごい価値のものになってるかもね。

・浦野さんは「京ぽん」(話題になってるインターネット対応PHS)からホームページを更新していた。いいですねそれ。

2006.01.21 |  第191回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。