第201回

2月10日「マジ?」

・デカレンジャーは戦隊ものとして近年出色の出来だった。合体メカのデザイン、デジタル合成を駆使した映像、そして時代劇からお笑いまで日本のあらゆるエンターテイメントからおいしいとこ取りしたシナリオ。ともに、世界に対して十分に通用するものだと確信する。ボスが犬なところも、メカニックが石野真子なところも、ピンクが意味もなく入浴するところも、良かったなー。

・そして新番組は『マジレンジャー』魔法戦隊、ってことでなんとハイテクではなく魔法で戦う、ファンタジーものになってしまった。普通の家庭の普通のオカンがある日いきなり「あたし実は魔女だった」と告白して、5人の子供達を戦いにかりだすのだ。面白いからいいけどさ。

2月11日「自主制作アニメのブーム」

・「東京国際アニメフェア」コンペティション公募部門の審査員をやっている。届いた応募作品をまとめたDVDがどさっと届いた。最近はインディーズ作品でも数10分以上のものがざらで、それが数10本となると見るだけでも丸一日……かけたけどまだ終わらない。

・でも内容はとてもバリエーションに富んでいて、飽きない。CG作家だけではなく粘土や人形を使ったミニチュアワーク指向の作家もパソコンの活用に慣れてきている。単純な編集や合成のためにツールを活用しているうちに、デジタルエフェクトの面白さに目覚めて……という作風が目立っていて、とても面白い。雰囲気としては、1970年代の実験アニメのブームに似てきたかもしれない。

2月13日「パックランドでつかまった日」

・今日、改正風俗営業法が施行されてちょうど20年。第1期ゲーム世代は、ゲームセンターが風俗営業店としてみなされるようになり、24時で閉まってしまうようになったあの時の衝撃を覚えてると思う。でもその後、災い転じて福となる形で独特の家庭用ゲーム文化が生まれたわけである。そう考えるとオタクのど根性は大したものだったと思うのである。

2月14日「正論ではありませんが」

・黎明期のゲーム雑誌にはゲーセンに入り浸って中学を中退してしまったような社会的脱落者がたくさんいた。1970年代のアングラ劇団のように、そういう人達の受け皿になって、一緒に新しい生き方を模索していく、そんな可能性がゲーム界の末端には、あった。この業界は、社会にとってハンドルのアソビのような場所になるべきだと僕はずっと思っていたし、今も思っている。

・17歳の少年が相談に行ける「ゲーム雑誌」が今あったら、いや、せめて彼を導くことのできる同好の先輩がいたら……とも思うのだ。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。