第203回

2月23日「オタクの標本化」

・東京都写真美術館にOTAKU展(ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展「おたく:人格=空間=都市」/3月13日まで)を見に行った。

・オタク青年達の個室をミニチュア化し、レンタルショーケースを展示台に見立て、そしてアキハバラを箱庭にして見せる。すさまじい速度で膨張拡散しているおたく文化を、現時点でフリーズドライ、標本化する試みだ。

・その目線はオタク文化をあくまでもフリーキーなものとして捉えている。奇形児や性病の絵図や蝋人形を綺麗に並べて見せた「衛生博覧会」みたい。「オタク文化」という言葉がもてはやされている背景には「これほどグロテスクなものをこんなにクールに愉しむことのできる自分たちってなんてハイセンス」てな優越感=差別意識があるのかもしれない。

・でもそんな状況をさらに醒めた目で見ていることのできる心の広さが、真性オタクの本領なのである。「人のことを虫みたいに観察してんじゃねぇ!」と、怒るような無粋な人は、そもそもオタクになんかならないわけだし。


2月24日「めくるめく快感」

・DSの『アナザーコード』プレイ中。画面に直接触れることによって、そこにすごくリアルなギミックが現出していく。物語の謎を解くことがページをめくる行為とイコールになる、不思議な本。手品師でもある作家・泡坂妻夫氏の『生者と死者』や『しあわせの書』といった傑作を思い出した。そうだこれは手品(マジック)なのだ。そう言えばタッチパネル&2画面の携帯ゲーム機を発明した山内氏は、手品の愛好家としても知られている。

・本にハマっている時、指でページをめくっていくこと自体に生理的な快楽を確かに味わっている。最近、電子出版物のビューアーがいろいろと提示されているが、例えば小説だったら文字をデータにして並べるだけではなく、紙の持っているそういった特性についても、忘れてはいけないと思う。そういった「本」のアナログな楽しさを、デジタルメディアでこそもっと具現化していくことができるかもしれない。

3月1日「1冊7円て」

・ヤフオクで渡辺浩弐のサイン本と生写真がオークションに出てる(3/8まで)。こないだ取材を受けた『iモードスタイル』誌の企画らしい。んで今見に行ったら21円。1冊7円て。
http://www.sbpnet.jp/is/information/art.asp?newsid=116
http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f31346016

・ヤフオクってまだなんかちょっと入りづらいって人多いみたいだけど、これなら出品者はちゃんとしてる(ていうかソフトバンク自身)だし、初めての人は練習のつもりで入ってみるのにいい機会じゃないか。ケータイでもできるし。ていうか21円じゃあんまり恥ずかしいので上げてやってくれ。
追記:その後見たら110円になってた。もっとがんばれ。

2006.01.26 |  第201回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。