第204回

3月2日「バイオメトリクスで対抗せよ」

・沖電気が4月から導入するという個人認証システムが面白い。カードに登録された「音」をパソコンや携帯端末に読み取らせるのである。音なら特別なスキャナーが不要で、普通のマイクがあればいい。そして電話経由で相手の確認をすることも可能。もちろんこのシステムは早晩、カードすら不要になる。つまり、それぞれの人間の「声」で特定できるようになるはずである。

・さて最近ウチの会社で人材募集の広告を出してるせいで、セールス電話がとてもたくさんかかって来て、うざい。勉強のつもりで聞いてると明らかに詐欺まがいのものもある。振り込め詐欺とかいかがわしいセールスの電話を受けてしまった際は、切ってしまう前に相手の声を録音しておくことにした。

・「声紋」による個人照合技術が静脈パターンや指紋によるものと違うところは、本人が登録しなくても近い将来、自動的にデータベースができてしまう可能性が高いということだ。つまりですね、5年後か10年後には、声からそれがどこの誰だか判別できる仕組みが、出来上がるってこと。もちろん今録音した声の犯罪者が、10年後に特定できることもある。それから社会的制裁を受けることになるわけだ。

・逆に、名前と顔を隠してるつもりで今そういうことをやっている人は、いつか取り返しのつかないことになるという覚悟した方が良い。

3月3日「よく95分にまとめたなあ!」

・『機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者-』。20年前のTVシリーズ素材を再構成したもの(3部作になる予定で、これがその第1弾)。『スターウォーズ』の特別編と同様、過去の映像をデジタル技術で再処理、新作映像と違和感無く組み合わせている。

・予想通り、ものすごい密度である。なのにダイジェストではなくあくまでも一本の新作劇場用映画としてきちんと仕上がっているのは、やはり富野監督がいまだにボルテージを保ち続けているおかげだろう。声なんか全部取り直したってんだから。

・話は飛ぶけれども、今「戦場」について、その現場の兵士や民間人ひとりひとりのリアリティーをレポートする報道は非常に不足している。我々には、想像力が求められているわけである。アニメやマンガやゲームはその鍛錬のためのツールとして非常に優れていると思う。

3月4日「ぜんぶ見よう外国語講座」

・拙著の数タイトルについて、ハングル版リリースの引き合いがあった。1冊しか出ていない自分のハングル版小説を使ってこりこり勉強をしていたところだったので、とてもうれしい。

・ここで話はすごくそれる。来年度(4月以降)のTVハングル講座のレギュラーが発表になったのだけど……Ryuが出るって! 竜ちゃんのことではなくて、冬ソナの主題歌を歌ってたあの人だよね? 紅白に出てもらうのにウン十億って噂もあったビッグ・アーティストだ。あの人がいちいち日本に来てNHK教育で韓国語を教えるっての? おそるべしNHK教育。

・その他TV外国語講座のレギュラーはものすごく豪華、を通り越して変。ドイツ語会話に伊達公子。スペイン語会話に笑い飯。イタリア語会話に貴乃花親方。っておい。

3月7日「auかっこいいかも」

・KDDIのイメージビルディング「Kスタ(KDDI DESIGNING STUDIO)」が原宿竹下口にオープンした。AVイベントやショウイングのスペースとしてかなり豪華で、3月中は「TOMATO」によるライブパフォーマンスや映像インスタレーションが行われている。

・もちろんKDDIの主力商品・auケータイについてはきちんとショウイングが行われていて、各種コンテンツの試視聴もできる。また新技術のいろいろが、応用アプリケーションの形で体験できるのも楽しい。例えば顔認証技術を使って、自分の顔がどんな職業に多いタイプか検索してくれるシステム、など。

・ケータイのシェア争いはこれからは未来の先取り合戦になっていく。面白くてたまらない。

2006.01.27 |  第201回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。