第240回

11月29日「ニワンゴ発進」

・「2ちゃんねる」と「ドワンゴ」のジョイントプロジェクト(2ちゃんねる管理人・西村博之氏を経営陣に迎え入れる形でドワンゴが設立した新会社)「ニワンゴ」が話題になっている。ケータイメールのやりとりの延長の操作により、ネット上のあらゆる情報を検索できるというものである。今日その発表会が行われた。

・ニワンゴ社・杉本社長と一緒にひろゆき氏が登壇し、このプロジェクトのプロデューサーとして詳細まできちっとプレゼンしていたことに来場者は驚いていた。好球必打の人なんでしょうね(おみやげはやはり「うまい棒」だった)。

・2ちゃんねるの特性は別としても、今後、巨大掲示板がコンテンツの一大産地になっていくことは間違いない。しかしこれを良い形で加速させるのは難しい。「商売」のラインに載せていくことは特に(『電車男』の事例と『のまネコ』の事例を比較するとわかりやすいかも)。

・ていうかデジタル時代になると、コンテンツ産業自体が、資本主義のフォーマット上に乗りにくいものになっていくのだ。その打開策を発見し始めている人達がいる。この話、続きます。


11月30日「ライトノベル世界進出」

・『ファウスト』最新号届く。おお、竜騎士07さんの書き下ろし小説が載っているぞ。この号は分冊で、つまりサイドA、サイドBの2冊が出るということで、その中での短期連載という形も試みられている。ところでこの本、目次がないのだけど渡辺浩弐のショートショートは真っ黒なページなので探しやすいですね。

・『ファウスト』はいよいよ世界進出らしい。まずはアジアから、ということで台湾版が尖端出版社から出るとのこと。偶然だけど『プラトニックチェーン』コミックをリリースしてくれてる会社だ。

12月1日「砂上の楼閣」

・手抜き設計のビルのことがが大騒ぎになっているけれども、高度成長期に造られたものにはもっと危険な建物がいくらでもあるはずだ。

・昭和時代に土建屋をやってたというおっさんに話を聞いたことがある。現場に届けられる建築資材をいかにちょろまかすかが愉しみだったって。例えばセメントにはそのへんにある砂を大量に混ぜて使うと、本当は5袋必要なところが4袋で済んだりする。余ったぶんを横流しして、ぼろ儲けできたんだそうな。

・賞賛されている日本の高度成長の実体はこういうもんである。僕は、戦後復興を信用しない。あの焼け跡が今はこんなに立派なビル街に……なんて自画自賛してる世代のことも。ご立派なその風景は、大きな地震の一つでも来れば崩れ去るのだ。その時、本当の犯人は責任を追及されることはない。それは阪神大震災の時に証明されてしまったことである。

2006.03.04 |  第231回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。