第243回

12月13日「フライドチキン食べながら」

・ディズニー・スタジオ初の自前フルCGアニメ『チキン・リトル』。全てのキャラクターがとても不細工で不自由。な、ところが良い。誰もかれもが醜い。のに、可愛い。そこが魅力。

・その昔、フリークス映画にはホラーだけではなくコメディーやロマンスの名作もたくさんあった。最新CGによる3Dキャラクターの映画には、その美学が復活しているように思える。つまり1920年代や30年代だったら本当に異形の人々を使って実写で作ったであろう、そういう映画なのだ。

12月14日「ケータイでも読んでほしい」

・ニワトリつながりというわけではないが話題のニワンゴ社を訪問。杉本社長と会う。

・ケータイにメール形式で様々な情報を配信していくニワンゴのシステムに、小説家としてものすごく魅力を感じている。指を使ってケータイから情報をひっぱりだすという方法には、紙のページをめくっていく方法に匹敵する安定性があると考える。

・僕もいろいろとコンテンツを提供させてもらおうと思っている。まず、ショート・ショート(の、ようなもの)。それから、長編(の、ようなもの)。いずれも、このインフラ向けにカスタマイズするか、書き下ろすつもり。

・ところでショート・ショートを書き続けている作家は今ほとんどいないが、そのままでも、映像化されても、これほど今のインフラに向いている素材はない。若者達よ、なぜこの席に座ろうとしないのだ。

12月16日「ブログで食っていけるかも」

・『ゲームラボ』の取材で、竹熊健太郎先生と会う。

・同誌内「三才のハローワーク」という連載を手伝っている。これは最初、いろいろな職業の人々を取材しようということで始めたのだが、だんだんと、ヒッキーなニートな人が食ってけるようになるにはどうしたらいいか、ということがテーマになってきた。これさらに軌道修正してオタク版『無能の人』のような企画にしたいと思っている。

・そこでまず、オタクが好きなことを追求しつつブログ運営で、例えばアフィリエイトの収入で生活できるかどうか、その可能性を取材・研究している。竹熊さんのブログはマニアックな情報が充実している超人気サイトだけど、それだけではなく、きちっとアフィリエイト収入を上げている点がとても重要なのである。情報の充実が収益に直接的につながっているということだ。毎日見に行って、お手本にするべきだろう。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。