第308回

4月18日「あちら側の事件なのか」

・バージニア工科大学の事件について。他人事として語られてしまいがちだけど、平等を装った格差社会の中で疎外された人間の凄まじい孤独をちゃんと想像してみるべきだと思う。それはとても身近なものかもしれないのだ。

・アメリカ社会の脳天気な明るさは、金もステイタスもない若者に対しては、時に悪趣味な虐めとなって突き刺さってくる。マジョリティーの側のアメリカ人はそれに全く気づいていない (たとえばイラク人捕虜に対する虐待も、現場では『ただのパーティーだよ、冗談が通じないやつらだなー』という程度のノリだったのではないか)。

・ただし、最近は日本からアメリカへ移住したり留学したりするのは金持ちばかりになっているという。覚悟と孤独を抱いた貧乏な日本人は、もういないのかもしれない。

4月19日「お茶会トーク」

・講談社BOX編集部を訪問。台湾の全力出版有限公司・林依俐社長(この欄3/31付け参照) や香港のイラストレーター・toraさんらがいて、とても賑やかだ。さっそく紹介してもらい、各国のライトノベル/コミックの現況などいろいろとお聞きする。話盛り上がり、せっかくだからと、一緒にジュンク堂池袋店に引っ張ってきてしまう。

・ここで、講談社BOX太田編集長と僕で『ひらきこもりのすすめ2.0』発売記念のトークショウをやったのである。カフェスペースで、喋る側も聞く側も同じように座り、時には客席の中にマイクを回しつつ質疑応答。一緒にお茶をしながら雑談してる感じだ。太田さんもリラックスされていて、世界展開(中国でのライトノベル文化の台頭、そして特に今熱いテーマは『ファウスト』アメリカ進出!)についての考えなどを、大仰なビジネスプランとしてではなく、各国の具体的な状況を軸にわかりやすく話してもらえた。

・この形式は参加者40~50人くらいが限界みたいだけど、壇上から一方的に喋る形の講演とは別の面白さがある。終了後、ミニサイン会も設けて頂き、参加者一人一人と話すこともできた(=写真)。ありがとうございました!

4月23日「ゴールデンウィークが黄金週に」

・その太田さんから「中国の件、チケット取れましたよ」との電話。そういえばトークショウで「一緒に行ってみましょう」って話したっけ。いつ? 「来週」

・というわけですぐに行きます。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。