第365回

5月27日「笑っちゃうほど怖い」

・『サイレン(:New Translation)』の体験版がダウンロードできる。今度は米国人をマイキャラに据えたことで、Jホラー的な闇の恐怖がさらに際だっている。PS3対応となりもちろん映像も音響もすさまじくリアル。あまりにも怖すぎて笑ってしまえるほどだ。一人でやるより、パーティーゲームとして遊んだ方がいいかも。

・この夏はホラーゲームのちょっとしたブームになりそう。注目作のサンプルが続々と届くが、やり込むのにちょっとした精神力が要る。

5月28日「客観的に分析するべき」

・大学院。中国人留学生の受講者から、中国の動画投稿サイトをにぎわした『一個饅頭引発的血案』(『無極/プロミス』のパロディ)の提示があったので、日本のマッドアニメについて、ニコニコの現状に至るまでの経緯を中心に話す。こういう予定外の講義は疲れるが面白い。

・そういうムーブメントを語る際にはまず是とするか非とするかそのスタンス表明を求められるものだが、学問として捉えるならば現象として分析すべきである。今は例えば在中サーバーが著作権特区的に機能していることの意味を冷静に考察すべきなのである。

5月30日「カフェイン・インカフェ」

・コーヒー、コーヒー、コーヒーの日々。指先が染まってきている。

・KOBO CAFEでは、小説家の方々の好みや個々の作品イメージに基づいたオリジナルコーヒーを開発し、隔週代わりで出している。作家さん一人一人とみっちりと話してはコンセプトを作り、それをもとに工場や業者を回る。仮に仕上がってきたものを営業外時間にいろいろに淹れて試してみる。完成したものは大勢の人に供することができるわけで、これが趣味だとしたらとても贅沢な環境である。

・最近、山梨のとあるカフェで飲んだ珈琲があまりにもおいしくて、その豆の出自を追っている。生豆を富士山麓で寝かせてワインのように熟成させる方法があるらしい。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。