第368回

6月20日「病こうこう涙そうそう」

・カフェに、沖縄在住の音楽プロデューサー・中西さん来店。積もる話もあるけれど、実はやっぱりコーヒーの話。日本国内でコーヒーの栽培ができる数少ない場所が、沖縄なのである。農場を確保する方法などを相談する。もはやヤバイ領域に入りつつあるのだろうか?

6月26日「小説脱稿は3年前」

・TAGROさんと飲む。仕事が一段落ついたので、ということだったのでねぎらいのつもりだったのだが、終わっていたのは連載マンガの方だった。僕の小説のイラストは、まだじゃないか(締切はGW明けの予定であった)。

・カフェに誘い出してそこで缶詰にすることにした。

6月27日「丹下vsシャネル」

・国立代々木競技場のオリンピックプラザに設置されたシャネル「モバイルアート」パビリオンを見に行く。ザハ・ハディド設計の建築物で、約300のパーツに分解されては香港、東京、ニューヨーク、ロンドン、モスクワ、パリの6都市を輸送され、再構築されるというプロジェクト。東京は7月4日まで。

・各国20組のアーティストがシャネル製品やその製造現場から得たインスピレーションを元に作品を仕上げている。日本からは荒木経惟氏、束芋氏らが起用されている。

・巨大な巻貝の内側のような空間をぐるぐる周りながらそれらを体感する。ふと40年前の大阪万国博覧会の記憶がよみがえった。外に出ると、パビリオンの背後にそびえ立つ代々木体育館は、今改めて見るとすごい偉容だ。半世紀も前にこんなものを作った日本人って、とんでもないと思いませんか。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。