第387回

10月20日「その後、切ったらしい」

・10年ほど前に『神様!!BOMB!』という、女の子がずらりヒナ壇に座る形式のトーク番組にレギュラー出演していたのだけど、その中に遺伝子はXYの女の子が一人混ざっていた。しかしすげーかわいくて声も仕草もカンペキで、誰もそれと気付かなかった。「あれ男っすよね?」と司会のヒロミさんに言ってみたけど信じてくんなかった。

・そんで彼、というか彼女、数ヶ月にわたって完全に溶け込んだまま出演を続けていた。ばれたのは本番中だった。ゲストの山田邦子さんに「あなた、もしかして男?」と突っ込まれたのである。それからスタジオは大騒ぎになった。

・たしか春菜愛さんとかいう人だった。

10月21日「小説書かない小説家、募集」

・ネット上に解き放つとあちこちから文のかけらを拾い集めては組み合わせ全く新しい小説を作り上げていくロボットエンジンのアイデアについて、以前ここでも書いた。その特許が、正式に登録された。出願から9年かかった(特許ってのは出願するのは簡単だけど認定され登録されるのは難しいのである……”特許出願中”をうたっている商品はとても多いが、正式にとれているわけではないのである)。

・これはいろいろなシステムのベースになる。ネットとゲームと文学がここを拠点にインテグレードされていくと面白いと思っている。取りあえず10億円くらい集めて、会社を作ろうと考えている。バーチャル作家は顔出しができないことがネックなのだが、今の時代、小説が書きたくはないけど小説家になりたい、という人がとても多いから、心配はなさそうである。

11月1日「世界のCMフェスティバル」

・新宿ミラノ座にて、「世界のCMフェスティバル2008」。日本や欧米はもちろん、世界のすみずみからコマーシャルフィルムを集めてきて、一晩中延々と上映する。ロビーではスポンサーからお酒が供されたり、バンド演奏や大道芸もあったり。

・インドネシア、タイ、スロバニア、ハンガリー、アルジェリア。そんな国々で一体どんなCMが流れているかなんて、普段は想像することすらないわけだ。見終わると脳みそがとてもフラットになっていて、いい感じ。

・毎年見に来てるけど、CMはお金を使って実験的映像を作り、かつ、その効果をすぐに計れるメディアとして、とても有効だと感じる。戦争のない世界で軍事産業の代わりに広告産業がそういう役割を担っていったということだろう。そして最近はいくらでも過激なことができるネット広告という場で、さらなる進化が始まっている。

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PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。