渡辺浩弐の日々是コージ中
第401回
2月3日「スマイルプライスレス」
・仕事論の続き。「やりたい仕事をやるべきだ」というと甘いと言われるが、「やりたくない仕事ならやってほしくない」と言うと厳しいと言われる。同じことなのにね。
・例えば失業者に対して「選り好みなんてせず接客業をやればいい」と言う人がいる。これは厳しい意見ではない。甘いのだ。
・まず、接客業に対して失礼だ。接客にスキルはいらないというのは誤解だ。流通業の最前線、製造業にとっても顔となる仕事なのである。昨今はネットで買う方が便利になっているジャンルもあるし、誰にでもできる部分はコンピュータの力でオートマチック化されるわけだから、客前に立つからには商品知識や語学力を自由自在に使いこなす能力も求められてくる。
・誰でもできるという誤解のせいで、現実的に、接客の質が落ちている。嫌々働いている、嫌々接客してる店員ほど不愉快なものはない。そういう人に、無理に働く前に一度引きこもって自分の適正を見極めるなり勉強するなりしろ、なんて言うのは、甘やかしてることになりますか?
・できないなら引きこもっていろ、というのを冷たい意見だと思う人は、「引きこもり」という状況への固定概念があると思う。そこは政治の問題でもある。つまり、お外へ引っぱり出すことではなく引きこもり方をサポートしてほしいわけだ。例えばネットカフェにいる人に金を貸して別の住処を用意するという発想ではなくて、そこにいたままでできる勉強方法や仕事内容を考える、ということ。
2月6日「みどりのおばさん高給の理由」
・適切な仕事を適切な人間がやるべきだ、という話の続き。それは学歴とか資格とかの話ではない。極端な例だけど、「みどりのおばさん」って年収約800万円なんだってね(東京都の例)。ググろうとしたら「みどりのおばさん 求人」で検索してる人がたくさんいて笑った。甘いってば。
・実働一日数時間でそれだけの収入が保証されるのだから、公募すれば相当に狭き門になるものだろう。けれどこれは普通になれるものではないようなのだ。東大出てようが、TOEIC990点とってようが意味ないわけだし。
・規定は見つけられなかった(あえて明文化していないのかもしれない)が、この職業は交通未亡人の母子家庭救済のために設けられているというものらしい。簡単な仕事のようで、実はかなり責任重大な仕事ともいえる。手を抜こうと思ったらいくらでも抜けるかもしれないが、本気で、真剣にやれる人だけにやってもらいたい仕事でもある。ならば、この人選方法もギャランティーも、正しいような気がする。
・現在の失業対策事業はたいてい、高度成長期に作られたものだ。それはかつては有効に機能していた。東名高速道路だって中野ブロードウェイだってそれがなかったらできなかったものである。今の政治家は、そういうのとは別に、今この時代にマッチした対策を考えるべきだ。若い無職者向けに、在宅でパソコンでできる仕事をまとめるとかね。国がやんないと、悪徳業者が跋扈しはじめる。
2月14日「思春期に効く薬」
・チョコレートはかつて精神安定剤として使われていた。「バレンタインデー」は、思春期の特効薬としてこれを使うアイデアなのである。
・チョコレートを送ってくださって、ありがとうございました。生涯思春期をモットーに、がんばります。